第102話 恋人岬
堂ヶ島周辺でランチにしよう。
俺はアジフライが美味しいという店にした。
有希は金目鯛の煮付け定食だ。
値段は高いが、そうそう食べられるものでも無いし俺も少し貰うから頼んでもらった。
金目鯛ウマー。
有希もニッコリしている。
アジフライもフワッフワ。
有希もアジフライ上手に作るんだよなー、どうやってフワッフワに作るんだろうか、今度一緒に作って教えてもらおうか。
でも自分で作った物より、有希の作ったご飯が食べたい…。
今日の晩御飯は婆さんの担当かな?
車で恋人岬に行く。
今日は晴れてるから、海の青が綺麗に見える。
車を駐車場に止めて、ここから700メートル程歩いた先の展望デッキまで2人で恋人繋ぎをして歩く。
途中、建物の横には定期券を模した看板が。
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恋 の 定 期 券
恋人岬ーーーー→結婚
途中下車できません。
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…シャレてるな、恋人岬。
俺達の恋の列車から、俺は絶対に途中下車なんかしないぜ!
エッ…まさか…いくら途中下車出来ないからって、有希は飛び降りたりは…しないよな…?
俺は心配になってソワソワし出す。
「お兄ちゃん、安心して。
私は途中下車しないから。」
「エスパー!?」
「お兄ちゃんは顔に出過ぎwww」
「私よりお兄ちゃんの方が心配だよ、私に逢ってから何人の女の子と連絡先交換したの?」
「…3人?」
「ほらーっ!ぷぃっ。」
有希が頬を膨らませてソッポを向く。
「なにソレ、可愛いっ!」
俺はつい心の声を言葉にしてしまった。
「そっ、そんな言葉に騙されないんだからねっ。」
「騙すも何も、本音だから。
それに、阿部先生も二上も有希のために必要な交換だし、高坂さんもこれから芸能界の事で何か相談しないといけない事が出て来るかもしれないからさ。
ねっ、機嫌直して。」
「うん…。」
ここで
「海が綺麗だねー、それに富士山がハッキリ見える!」
「あぁ、ここは夕陽も綺麗らしい。」
ここには愛の鐘がある。
これを2人で3回鳴らすと愛が叶うらしい。
今日は平日で空いている、周りに人はいない。
2人で鐘を3回鳴らした。
そして有希に向き合い、有希の目を見つめながら、
「俺は有希に嫉妬してもらえて、幸せだよ。
だって、俺が好きだからって事でしょ?
俺も有希の事が大好きだよ。
俺には有希しかいない。
どうか、俺の事を信じて欲しい。
…愛してる。」
有希も潤んだ瞳で俺の目を見つめ返しながら、
「私もお兄ちゃん…真之さんを、愛しています。」
俺は有希に熱い眼差しを向けると、有希はゆっくり目を閉じた。
潮風が強く吹く中、2人の姿が重なった。
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この1つ前に公開していなかったエピソード、『天窓洞』があります。
恐らく気付いていない方もいると思います。
今遊覧船の事故がニュース等で報道されていますので自粛しようかとも思いましたが、このエピソードは遊覧船の事故以前に考えていたものであり、物語的に書かないと繋がらないかとも思い、公開する事にしました。
お亡くなりになった方々の御冥福をお祈りいたします。
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