第65話 体育祭②シュシュ
今日は有希の女子校、小鳥遊学園女子高等学校に来た。
今日は婆さんは来ない。
グラウンドでずっと座ってるのは苦痛だと。
俺の撮って来る画像を見るから、いいそうだ。
学校への車での来訪は禁止となっていたので片山家から公共交通機関と徒歩で来たのだが、2度目とはいえ今回は緊張感が違う。
前回は授業が休みで生徒がいないのと、オッサンを相手にしていたから今日程緊張はしていなかった。
ワイワイキャイキャイと紺色のジャージを着た女子高生がウロウロし、アチコチから声が聞こえる。
こんな女子女子した場所は初めてだ、緊張する…
何も犯罪をしていないのに、何故罪悪感を感じているんだろう…。
有希が撮影許可証を取ってくれたらしい、グラウンドの入場門で待ち合わせをした。
有希も今日は紺色ジャージでポニーテールにしている。
有希はポニーテールが似合うな、白いシュシュを付けている。
髪をサラッと解いている状態も好きだが、俺はポニーテールも好きだ。
「お兄ちゃん、これ。
撮影許可のシール。
通行許可証に貼ってって。
お弁当は一緒に食べられないけど、お兄ちゃんの分も持って来たからお昼に受け取って。」
「ありがとう、朝言ってくれれば自分で持って来たのに。」
「お兄ちゃんのバッグ、小さいから入らないかと思って。」
「気を使ってくれて、ありがとな。
有希のポニーテールとシュシュ、似合ってるよ。
可愛いな。」
「エヘへーッ。
お兄ちゃんが写真撮る時に私を見付けやすいと思って。
お兄ちゃんてあんまり可愛いとか言わないから、嬉しいな。」
「そうだったっけ?
いつも綺麗とか可愛いとかは思ってるけど、そういえば口に出して言ってなかったかもな…。アッ…」
「いつも思ってくれてるんだ…嬉しい…。」
有希はポヤッとしながら俺を見ている。
つい言ってしまった…。
俺から可愛いとか綺麗とか言われても気持ち悪いだろうと思って今まで有希には言わなかったんだが…
これからは言いたい時は言っていこうかな、有希が嬉しいと思ってくれるのなら…。
本当に思ってくれてるのかな…?
俺は発言を誤魔化すためにスマホを有希に向けて写真を撮った。
最近のスマホは優秀だからな、いちいちビデオカメラを買わなくてもスマホで十分だと判断して、カメラは買わなかった。
「あっ…お兄ちゃん、ちょ、ちょっと…
急過ぎる、私ヘンな顔してたかも。」
確認したら、ポーッとした顔をしていたが、可愛い。
「えーっ?全然可愛いけど?
大丈夫大丈夫、家に帰った時に全部確認してよ、いちいち1枚ずつ確認してたら大変だよ。」
「そっ、それはそうだけど…」
「有希、時間大丈夫なの?」
「あっ、集合しなきゃ!
お兄ちゃん、またね!」
俺はこの日以降、撮れた写真で有希が消してしまいそうなモノは別のホルダーに移しておく事に決めた。
以前に何枚か消去を免れた喫茶店の写真もあるしな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます