第58話 片山家家族会議②
「うーん…
一緒に住む以上はさ、例えば家の中で着替え中にバッタリ出くわしたりさ、その…
ハダカだって見ちゃうかもしれないし…
有希はそういうのイヤだろ?」
と俺が有希を見ながら言うと、有希は頬を赤く染めながらも、
「えっ…お兄ちゃんなら大丈夫かな…。」
と身をよじらせながら答えたので、そこで婆さんが
「お主…キタコレ!
女にここまで言われたら、もうOKって答えるしかないじゃろ、このボケナスが!」
「えっ…うーん…
俺はいいんだけどさ…
世間体というかさ、ウチの上司とかにバレたらどうなるのかなって…。
ウチの会社はこういう職務倫理とか物凄くウルサイから…
場合によっては内部規定で処分もあり得るし……
…うん、解った、いいよ!
でも悪いけどいくつか約束があるんだ。」
有希は喜び半分、不安半分で、
「それはどういう約束なの…?」
と聞いて来たので、俺は
「もし俺の上司とかに、付き合ってもいない子と同居とかバレたら大問題になるから、最初から婚約者って事で
それで大学を卒業して
もう1つは、学業を優先に考えて欲しい。
俺のご飯なんて弁当だって冷凍食品だって構わないんだから、俺のせいで単位が足りないとか、成績が落ちたとか、そういうのは無しにして欲しい。
後は勿論家賃とかはいらない、その代わりに家事を出来る範囲でいいからお願いしたい。
それと婆さん、もし万が一ウチの上司にバレて有希が本当に婚約者かどうか、って内容の確認電話があったら、ちゃんと婚約者だ、って言ってくれよ?
じゃないと大変な事になる…。
2人とも、約束、守れるかい?」
「…はい、守ります。
お兄ちゃん…本当にありがとう…。
合格出来る様に、頑張るから。
そして、私は絶対にお兄ちゃんの婚約者になるんだからっ…。」
「がってん承知。」
「あれ、何か1人おかしい人がいるよ、婚約者のフリでいいんだからね?フリで。
そんなに嫌がらないでっ(泣)
それにガッテンって(笑)」
「さぁ、ご飯にしましょ、今日はしゃぶしゃぶだよっ!」
「おー、しゃぶしゃぶなんて久しぶり!
婆さん、この間山梨で買って来た日本酒開けようぜ!」
「ありゃもう飲んじまったよ、美味かったぞ。
また買って来とくれ。」
「えー、仕方ねぇ、今日買って来たマルヒガシって芋焼酎開けよう。」
「なんじゃと、ワシに買って来てくれたんじゃないのか?
ワシにも飲ませろっ!」
ドヤドヤとそれぞれ楽しげにダイニングに移動する中、信子は
「これはひょっとしたらひょっとするぞ…
真之が最初に来た時のワシとの約束が本当の事になるかもしれん…
爺さん…アンタ、本当に真之をここに連れて来たのか…?
じゃとしたら、これからオモシロくなるのぉ…
いーっひっひっひっ!」
とひとりごちた。
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