第53話 卒業配置
4月某日、警察学校から我が警察署にも卒業配置、略して
そしてウチの係には女性警察官が来るらしい。
警視庁は職員の総数の12%以上を女性にするとの方針を打ち出したため、各係にも1人か2人女性警察官がおり、卒配で来る女性警察官は基本、先輩の女性警察官が1人前になるまで指導する事になっている。
だが、ウチの係はたまたま女性警察官が刑事になる講習に行っており留守であったため、何故か俺に指導巡査の役割が回って来た。
…なん…だ…と…
以前にも言ったが、俺は女性は苦手だ。
特にオトナの女性が無理だ。
イケメンでなければ男じゃない、みたいな小汚いモノを見る様な目で見て来るし、何でもかんでも会話する度にセクハラ認定を受けそうで近寄りたくもないし、会話もしたくない。
実際に女性側も必要な事務連絡以外は絶対に話し掛けて来ない。
何で俺にこんな話が巡って来たんだよ…カンベンしてくれ…
俺は係長に
理由は3つ。
1つ目は若い女性だからとチヤホヤしないだろうという事。
2つ目は俺だと女性と絶対に間違いが起こらないという事。
3つ目が俺が2所属目だから、オールマイティに何でも教えられるだろう、との判断だ。
ぐぅ…係長め、俺の事をよく見てやがる…
仕方ねぇ、業務命令は断れん、講習に行っている女性警察官が帰って来るまでの間だ、何とか乗り切ろう。
卒配は来てから数日は署の中で座学、それから各係に振り分けられる。
本日は夜勤の日だ。
「本日からお世話になります、卒業配置で参りました、
何も分からずご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願い致します。」
係全員の前に出て堂々としている。
彼女は可愛い系美人で小柄、ショートカットだ。
大体美人は綺麗なのを鼻に掛けてツンケンしているからやり辛い。
オドオドしてない所を見るとメンタルが強いんだろう、こういう奴は何を言っても聞かない事が多いからなぁ…
不安しかない。
係全体の指示が終わり、各交番へ出発となる時に菅野さんに声を掛けた。
「私が指導する事になりました、遠山です。
よろしくお願いします。」
すると彼女はこちらを値踏みする様に見た後ニヤッとしながら、
「先輩、よろしくお願いします。」
と頭を下げて来た。
何だろう、今のニヤッは…
あまり今までの女性とのファーストコンタクトでは見た事が無いな、むしろ上から目線のイケメンに多い気がする…
そうか、早速見下されたのか。
うん、もういいや。
適当に教えよう。
交番への移動は徒歩、自転車や電車、交通の便が悪かったり遠いとパトカーに乗せてもらったりと様々だ。
今日は繁華街の駅前交番で結構忙しい所なので、明日の交代が来るまで大きな事件は何も無いといいけど…。
取り敢えず、全て始めから教えないといけないんだよなぁー…(泣)
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