第3話
結局、契約したった。
「うおおっ、あっつ!ヤバいっ死ぬるっ」
意識が覚醒して先ずは、倒れこんでた布団から這い出る。
「こらサエダっ!このスマホに力をインストールしといたって言っただろうが!忘れんなこのぼけぇっ!」
「いや!炎の中から取れってか!?」
この声は現実に戻っても聞こえるらしい。
てか、出火元と思われるスマホにその死地を脱する力を付与するって、どんだけー!?
「あ、そーなんだ。魂だけ払いたいならそれでもいいですよー。ご契約ありがとーございました。あーちょろいちょろい。」
ヤバい。
意識が朦朧としてきた…
「ちくしょーっ!嘘だったら呪ってやる!」
意を決して、床を舐めてる炎に踏み出し、熱気に構わずスマホを掴んだ。
瞬間、目の前が爆発した。
「ぐあーーーーっ!!」
嘘じゃん…
まじこの声呪ってやる…
意識しないようにしてたけど、これって幻聴だったんじゃ。
もしかしたら、遅めにきた俺のイマジナリーフレンドだったのか?
24歳児の俺のお友達…
こんな嘘つき野郎だったなんて…
「誰が嘘つきだサエダ!ほら目を開けろよ!」
「へっ?」
お、おぉ
生きてる!
いきてるぞー!
「生きてるぞおおおっ」
ドゴンッ
隣の部屋から過去最大級の壁ドンが来た。
あ、すんません。
冷静になって周りを確認すると、この5畳キッチン風呂トイレ別の部屋で、黒焦げになったフローリングと壁紙と、煤まみれの天井、焼け焦げた布団がある。
壁際の本棚と押し入れは被害が無さそうだが…
いや、全体的に焦げ臭い。
もう、たぶんこれは取れないだろうなってレベルで焦げ臭い。
「どうしたらいいんだ…」
「えっと、まずは消防署に連絡だな。」
は?
「まだないさん、対処法を知ってるのか?」
「まだないじゃねぇし。俺様の契約者になったんだ。まずは俺様に名前をつけるべきだな。」
え、この声ってスマホから聞こえるけど…
スマホの画面を見る。
音声検索見たいな画面が勝手に起動してるな。
「え…Go○gleさん?そんな声だったの?」
「こらーーっ!」
まだないさん(仮)の名付けは保留して、ひとまず消防に連絡してみた。
火災保険には…入ってたのだろうか?
これ、直すのにいくらかかるのだろう…
あと会社に連絡して、ボヤ騒ぎがあったので休みたい云々っていったら、午前休み貰った。
この燻臭いスーツ来て出勤すんの?
まじか。
「で、結局貰った力ってなんなの?」
「火を操れる能力。」
「まじか。パイロキネシスとか、そんな感じのやつ?もしかして悪の組織と戦っちゃう感じ?」
「サエダお前…まだ厨二病が…」
うるせいやいっ。
超能力使えるようになったらそういうの想像しちゃうでしょうが!
そうか俺がヒーローか…
ヒーロースーツとか作らないとな。
いや、どうやって作るか。
オーダーメイドは…簡単にはばれるよな。
自作か?
中学卒業の時に家庭科セットをすべてゴミ箱にポイしたんだった。
あれ以来針も糸も触ってない俺には出来ない…っく…
「サエダ、スーツはあれだ。変身が出きるから要らないぞ。」
まじか!
特撮チックな変身なのか?
うわー、どんなスーツなのかなぁ。
ってか、ナチュラルに人の心読むの止めてね、まだないさん。
まだないさんは俺のスマホに宿って、俺の行動を逐一観察する積もりらしい。
壊れてたスマホがまた動くようになってほくほくだぜ。
しかもなんとスマホがまだないさんによって魔改造されている。
主な動力は俺の生命エネルギー。
えっ、危ないこととかないよね?それ。
電気は補助動力程度に使えるそうなので、いつも通りにモバイルバッテリーに繋いどく。
非常に不思議な存在だが、今のところ都合が良いことしかないし、特別感が凄い。
つまり、俺は選ばれし民ってことになるな。
ぶっちゃけ対価が魂って言われても、俺は前世も来世も信じてないからよく分からんし。
オカルト過ぎてテンションふりきってるけど、もし他にもこんな事があるなら、魔法少女とかもいるのかもな!
魔法少女のピンチに颯爽と駆けつける俺氏!
そして魔法少女を助けて一目惚れされ、二人で一生幸せに暮らすんだっ!
「あ、あと悪の組織側だからな。」
あるぇ?
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