926、ヘンペルのカラス
英:Hempel's ravens。「すべてのカラスは黒い」という命題を証明する論法のひとつ。1940年代にドイツの哲学者カール・ヘンペルよって、帰納法が抱える根本的な問題(「帰納法の問題(英語版)」)を喚起するために提唱された。その証明方法は一般的な感覚からすると奇妙に見えるため、「カラスのパラドックス」とも呼ばれる。
以下、証明を示す。
「AならばBである」という命題の真偽は、その対偶「BでないものはAでない」の真偽と必ず同じとなる。「すべてのカラスは黒い」という命題の対偶は「すべての黒くないものはカラスでない」であるため、これを証明すれば良い。そして「すべての黒くないものはカラスでない」という命題は、世界中の黒くないものを順に調べ、それらの中にカラスがないことをチェックすれば証明することができる。
つまり、カラスを調べなくとも「すべてのカラスは黒い」ということが証明できるわけで、これがパラドクスと呼ばれる所以である。
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