472、牛乳魔女【ぎゅうにゅうまじょ】

 牛乳魔術を使う魔女。牛乳魔術とは、よその家の牛からとれる乳を少なくし、その分自分の牛からたくさん乳を出すようにする魔術であり、魔女狩りが隆盛を極めた16世紀ドイツでは、この牛乳魔女がもっとも一般的な魔女として訴追されていた。

 近世初頭においては、「財の総量は常に一定」という総量一定の法則が信じられており、ある牛の乳の量が減るのは、別の牛の乳の量が増えることを意味していた。つまり、自分の家の牛の乳の出が悪いのは、隣の家が魔女魔術を使っているからだ、と考えるのである。現代では言いがかりにしか見えない訴えだが、これが当時としてごく当たり前の考えだったため、この訴状による魔女裁判は後を絶たなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る