第24話 確かめたい気持ち
それから
「そうなんだ。大橋くん、やっぱり
「やっぱりって……
「それは分かってるんだけど……でもね、大橋くんの気持ちを考えるとね」
「ほんっと、
「ははっ、ごめん」
「
「……そうなんだ」
「でも
「……」
「
「だから
「うん。だっておかしいじゃない。想い合ってるのに一緒になれないなんて。だから私は、二人が自分の気持ちに向き合うきっかけを作りたいの。
それにね、このままだと
「
「
「生きてる限り、僕たちは前に進まなくちゃいけないんだ。勿論過去も大事だよ。過去があるからこそ、今の僕たちがあるんだから。でも過去に縛られて立ち止まっていたら、それは後ろ向きに人生を歩いてるのと同じだと思うんだ」
「じゃあ
「大橋くんはいい人だよ。彼と付き合えば
「酷いよ
「違うよ、
「
「僕にとっては、
「……」
その言葉にいつも満足していた。
でも今、
私が今欲しいのはその言葉じゃない。そう思っていた。
彼が何を思い、どうしたいのか。それが伝わってこない。
「
「いいよ、何でも言って。と言うか
「キスして」
「え……」
勇気を振り絞って言った願いに、
「
「キスしてほしい、そう言ったの。本当はこんなこと、女からせがむものじゃないって思ってる。でも私は今、
不安な気持ちを消し去りたい。その為に確かめたい、そう思った。
それが本当なら
でももし、もし
「……」
振り向くと、
昨日と同じ感覚。
胸が締め付けられる。
鼓動が高鳴る。
え……ちょ、ちょっと待って、待って
そんな言葉が脳裏に浮かぶ中、唇の感触が伝わってきた。
温かく柔らかい感触。
背筋がビリビリと痺れる。
体が固まって。
そして……
安息感が遅れてやってきた。
耳元で
「大好きだよ」
その言葉は、
今もこうして私に触れてくれる。キスしてくれる。
私のことを好きだって言ってくれる。
自分の中に生まれた違和感、それが消えた訳じゃない。
でも忘れよう。
満ち足りた幸福感に身を委ねよう、そう思った。
「私も……
「ごめんね
「そんなこと……僕は
そう言ってうつむく姿に、
ニ回目のキス。
でも、安息感は違っていた。一度目よりも大きくなっていた。
昨日よりも
だから今はいい。これでいい。
彼のことを信じよう、彼に信じてもらえる女になろう、そう思った。
この想いがあれば、どんな未来でも変えることが出来る筈だ。
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