第11話【無垢なロリ巨乳JS雛未】天使が願うたったひとつの救済・中編
ある日、雛未は自分の日記を読み返してみた。
そこに、誠一の助けに繋がるようなヒントがないものかと思ったのだ。
飽きっぽい雛未が唯一続けている習慣がこの日記だった。
誕生日に貰った、ピンク色のフリルが付いた可愛らしい装丁の、少々値の張る日記帳。
普通のノートよりも、こういう凝った作りの日記帳のほうが長く大事に使われることを、プレゼントした母は知っていた。
その狙い通り、雛未は毎日欠かさず一日の些細なことを記録につけていた。
もっとも、その文面や内容は天然な雛未に似つかわしいフワフワしたもので、筆者本人でなければ解読は困難である。
雛未以外の人間に読み聞かせるために書き直すならば……以下のようになる。
例の事件から数日。
腕を負傷した誠一のため、家族総出でサポートを始める。
特にその頻度が多いのは家事が得意な夏希。
この頃、夏希は妙にしおらしい。以前の快活な面影はどこにもない。
誠一の腕に傷を残してしまったことを気にしているようだった。
事件から三ヶ月。
誠一の腕はいまだに良くならない。
夏希は相変わらずよく誠一の部屋に足を運び、家事を手伝っている。
誠一のおかげか、この頃は少しずつ元気を取り戻しているようだ。
どころか何やら妙にイキイキとしている。短かった髪も伸ばし、とても女性らしくなった。
家では鏡をよく見るようになり、お洒落にも気を遣い始めている。もともと綺麗な姉だったが、さらに綺麗になった。
……ただ、ときどき独り言を呟きながら身体をクネクネさせているのでちょっと怖い。
事件から半年。
誠一が多少なら腕を動かせるようになる。
これまでのサポートのお礼とリハビリを兼ねて、我が家の家事を手伝ってくれるように。
自宅でも誠一と過ごせる時間が増えて嬉しい。
近頃、落ち込み気味の母のことが心配だったが、誠一が晩ご飯を用意してくれたり、娘たちに隠れてこっそりお酒の肴を用意して話に付き合ってあげているおかげか、すっかり元気になった。ひと安心。
ただそれ以来、母の誠一を見る目が変わったような気がする。
……そう、最初の夫のことに思いを馳せるときと同じように。いや、ひょっとしたらそのとき以上だろうか?
大人びた母が、誠一の前だけではまるで恋する乙女のようになって、何だか可愛らしい。
でも「イケナイことだ」と思っているのか、自分の気持ちを必死に抑えているように見える。
師走の時期になると、誠一の腕もだいぶ良くなり、大掃除を手伝ってくれた。
もちろん、無茶はさせられないので全員で取りかかる。
……大掃除のついでに、あのオバケが住んでいた部屋の整理もおこなった。
母がこまめに掃除をして清潔にはしていたが、思いきって私物などを片付けることに。
嫌な思い出の痕跡はできる限り無くそう。そのためにここを清めましょう、と長女の杏璃が提案。
綺麗好きな杏璃の念入りな整理のおかげで、不気味な部屋もすっかり普通の部屋になった。
……ただ、この日から杏璃の様子がおかしい。
誠一を見る目が以前以上に熱いというか、ねっとりしているというか、とにかくギラギラしていて怖い。
ときおり「誠一様♡」「ご主人様♡」と呟いてる。怖い。
夜中トイレに行くために杏璃の部屋の前を横切ると、なぜかオットセイの物真似をしている声が聞こえる。キモい。
誠一にこのことを話してもなかなか信じてもらえない。
家族の誰もが、誠一のことをとても好きになっている。
自分も誠一が大好きだ。負けたくない。渡したくない。
でも……それは、できそうにない。
誠一は何かを隠している。雛未たちにすら教えてくれない秘密。
その秘密のせいで誠一は間違いなく苦しんでいる。
どうすれば誠一の力になれるのだろう?
「はぁ……」
雛未は溜め息を吐きながらベッドに横たわった。
日記を読み返してみても、ヒントになりそうな情報はなかった。
どちらかというと、自分たち家族がどれだけ誠一のことを好いているのか。そのことを改めて認識させられるだけだった。
誠一の存在によって、自分たち家族は大きく変わった。
強かな母は、誠一の前だけでは弱い部分をさらけ出せるようになった。
男らしく振る舞っていた夏希は、誠一の前だけではうんと女の子らしくなった。
男嫌いだったはずの杏璃は、誠一の前だけでは気色悪いほどにデレデレになった。
自分たち家族の危機を救ってくれただけでなく、ずっと抱えていた悩みやコンプレックスまで誠一は解決してくれたのだ。
それなのに、自分たちは誠一の悩みを解決してあげられていない。
いつもいつも誠一に頼ったり、甘えてばかりだ。
それだけではいけないんだ、と雛未は思う。
好きな人には幸せになってほしい。
そのために、自分たちがすべきこととは、いったい何だろう?
「むぅ~。とっても難しい問題です」
もう一度メブキの知恵を借りれば、何か解決の糸口は見つかるだろうか。
……そういえば、メブキに見せてもらった資料の内容にこんなものがあった。
大勢の女性が一人の男に尽くし、愛するというものだ。
メブキ曰く「これこそ男にとっての究極の理想よ。……まあ、あたしは絶対に許さないけどね! お兄ちゃんはあたしだけのものよ!」とのことだ。
少し前では雛未もメブキと同じ考えだった。だって結婚できる相手はひとりだけなのだから、そんな結ばれ方はおかしい。
……でも、それもひとつの幸せの形なのかもしれない。
ありえないことだからこそ、普通では解決できないどうしようもないことも、解決できてしまうかもしれない。
「……ふむ」
雛未はクローゼットから鹿撃ち帽子を取り出した。
探偵などがよく被っているあの帽子だ。
ついでに帽子と同じ柄のマントを取り出し装着する。
手帳と虫眼鏡を用意すれば、準備完了だ。
「むん。名探偵ヒナ、これより聞き込み調査を開始する」
誠一の抱えている悩みはわからない。
でも、身内が誠一へ向ける感情の実体は明らかにできるはず。
その上で、改めて自分たちは誠一に対して何ができるのか。
誰が一番、誠一のことを強く思い、そして幸せにできるのか。
それをハッキリとさせたい。
そう思った雛未は、早速行動を開始した。
「ねえねえママー」
「なぁにヒナちゃん? あら、探偵ごっこ?」
「むん。真実はいつもひとつなのだ」
「ふふ、可愛らしい探偵さんね♪」
雛未はまず食器を洗っているエレオノーラに聞き込み調査をすることにした。
「あのね、ママ。ヒナ聞きたいことあるの」
「なぁに探偵さん?」
「誠一お兄ちゃんのこと、好き?」
食器が滑り落ちる音が響く。
「な、何を言ってるのヒナちゃん?」
母は明らかに動揺している。
本人は隠し通してきたつもりなのだろうが、残念ながら雛未の眼からは丸わかりだった。
雛未はメモ帳を手にして、追い打ちをかけていく。
「むん。ヒナは真実を知りたいのです。ズバリ、ママはいまお兄ちゃんに恋していますか? パパや新しいパパよりも好きになってしまったのですか?」
「ヒ、ヒナちゃん。ママをからかっちゃダメでしょ? そんなこと、聞くものじゃないわ」
「……ヒナ、真面目だよ? だって、とっても大事なことだもの」
「ヒナ、ちゃん?」
雛未の決してお遊びではない真剣な態度を前に、エレオノーラは思わず気圧された。
「ヒナもね、お兄ちゃんのこと大好き。本気でお嫁さんになりたいって思うくらい」
「……ええ、知っているわ。誠一くんみたいな良い子が義理の息子になってくれたら、ママもとっても嬉しいわ」
「……それで、ママは本当に幸せ?」
「……もちろんよ。だって、娘の幸せを願うのが、母親の役目だもの」
穏やかな笑みで、エレオノーラはそう言った。
それは、やはり本心を必死に押し隠したような笑顔だった。
母のそんな笑顔を見ていると、雛未は何だか切ない気持ちになってきた。
思わず、ギュッと母にしがみつく。
「ヒナちゃん?」
「ヒナ、ママにも幸せになってほしい。じゃないと、このままじゃママだけひとりぼっちになっちゃう」
「ヒナちゃん……」
「ママは、二回もパパとお別れしたんだよ? そんなの、悲しすぎるもの。ママみたいな素敵な人がこのまま幸せになれないなんて、ヒナいやなの」
「……ありがとう、ヒナちゃん。あなたは本当に優しい子ね」
母の寂しさを理解して涙を流す末っ子を、エレオノーラは愛しげに抱きしめる。
「わかったわ。正直に話すね? ……ええ、私はきっと誠一くんが好きになってしまったんだわ。イケナイ女ね。再婚したばかりで、夫を失ったばかりなのに、一回りも年下の男の子相手にこんな気持ちになるなんて」
「『女はいくつになっても恋する乙女よ』ってメブキちゃんが言ってた。だからママがお兄ちゃんのこと好きになっても、全然おかしくないよ?」
「あらあら、オマセな子ね。……でも、そうね。本当にこんな気持ちは久しぶりだもの。まるで十代の頃に戻ったみたい。誠一くんは不思議な人ね。彼の前だと頼りがいのある大人でいることが難しくなってしまうの」
「お兄ちゃんと、恋人になりたい?」
「……夢のような話だけど、もし本当にそうなれれば素敵ね。……でも、やっぱりダメよ。許されないことだわ。誠一くんにとっても、きっと迷惑よ。こんなおばさんから思われたって……」
「ママはずっと綺麗だよ? お兄ちゃんの気持ちだって、確かめてみないとわからないよ?」
「それでもよ。……あのね、ヒナちゃん? ママ、もう男の人を愛することはないと思ってたの。だから、嬉しいわ。またこんな素敵な気持ちになれる人と出会えて。それだけで、十分よ。彼との思い出がある限り、決して一人になっても寂しくないわ」
エレオノーラはそう断言した。
雛未にはよくわからなかったが、それが大人特有の『気持ちの割り切り』というやつなのかもしれない。
……ただ、これでハッキリした。
母エレオノーラは、ひとりの女として、中田誠一を愛してしまったのだということを。
「ねえねえ夏希お姉ちゃん」
「な~んすか~?」
「誠一お兄ちゃんのこと好き~?」
「ぐほっ!?」
続いて雛未は自室でストレッチをしている夏希のもとを訪ねた。
雛未の唐突な質問に驚いて、夏希の関節があらぬ方向に曲がった。
「イテテ。急に何聞くのさヒナ坊」
「いまのヒナは名探偵なのです。真実の追究をしたいのであります」
「また何かのアニメの影響~? 相変わらずお子ちゃまだな~ヒナは」
「ぷー。ヒナ子どもじゃないもん。おっぱいだってまた大きくなったもん」
「へっへーん。あたしだって大きくなったもんね~。101cmのLcupだよ~ん? この調子ならアン姉のこと越せちゃうかも?」
「杏璃お姉ちゃんも最近ブラジャーのサイズ、大きめのに変えてたよ?」
「なん、だと? まだ成長する気か、あの乳牛め……」
「むー。それより夏希お姉ちゃん、ヒナの質問に答えてよ~」
長女に妙な対抗心をいだく夏希は「だが尻と太ももはあたしの圧勝のはず……」とブツブツ呟いていたが、雛未にクイクイと袖を引っ張られて現実に引き戻される。
「はいはい、先輩のことどう思ってるかって? ……うん、そりゃ、まあ、好きだよ?」
改めて口にするのは照れくさいのか、夏希は顔を真っ赤にして答えた。
「お嫁さんになりたい、ってくらいの『好き』?」
「……そうなれたら嬉しいっていうか、そうなれるように絶対に振り向かせるつもりっていうか」
「ほうほう。夏希お姉ちゃんはやはり『あくてぃぶ』なのです」
「だぁ~。恥ずいな~。ていうか、こんなこと聞いてどうするつもりなのよヒナは?」
「ヒナもお兄ちゃんのお嫁さんになりたいので『てきじょうしさつ』というやつなのです」
「こ、こんにゃろ~。小学生のくせに生意気なこと言いおって~。先輩は渡さんぞコラ~」
「きゃぁん。夏希お姉ちゃん、コチョコチョしちゃやぁ~」
挑発的なことを言う末っ子に、夏希はくすぐり攻撃を開始する。
同じ男を巡るやり取り。
されど不思議と険悪な雰囲気にはならず、何とも微笑ましい姉妹喧嘩が展開された。
「このこの。小学生のくせにこんなエッチな身体に育ちおって。やはり血は争えんなぁ。このトランジスタグラマーで先輩を誘惑する気か~?」
「あ~ん。したけどお兄ちゃん全然相手にしてくれなかったも~ん」
「ちょっ、待てよ。いつそんなことしたのさ?」
「ぷー。つい最近。お兄ちゃん、ヒナのこと女の子として見てくれてないのかな? ヒナとっても悲しい……」
「……そっかー。やっぱ、先輩、どっかそんな感じの壁があんだよね~……」
夏希も覚えがあるのか、雛未と同じように意気消沈した顔を浮かべる。
「べつに女の子に興味がない、ってワケじゃないんだろうけど……なんていうのかな? そういう眼であたしたちを見ちゃイケナイって自分に言い聞かせてるって感じ? そんなところあるよね、先輩」
夏希の言葉に雛未は「わかる」とコクコクと頷いた。
「やっぱり、あんな事件があったから、あたしたちのこと気遣ってくれてるのかな? ……でもなぁ、あたし先輩なら、どんなことだって受け入れられるのにな」
「ヒナも同じ。お兄ちゃんのためなら、何でもしてあげたい」
「はは。ヒナも健気だね~。先輩は罪作りな男だな~。あたしたち一家をこんなにも夢中にさせて」
夏希もやはり自分以外の家族の気持ちには察しがついているらしい。
それを承知の上で、自分が誠一の一番になろうと頑張っていたが……。
「……でも結局、あの人は誰も選ばないのかもね」
「どうして?」
「何となく、わかっちゃうんだよ。理由はハッキリとしないけど、あたしたちのことを『恋愛の対象として見ない』……そんな覚悟を感じるんだよね」
それは、雛未も感じていたことだった。
どうも誠一は、自分たち家族と男女の関係になることを恐れているところがある。
「まあ、それでもあたしは先輩に好きになってもらえるように頑張るけどね。だって、あたしは先輩以外の人と結婚する気ないもん」
「え? じゃあ、お兄ちゃんに振られたら、夏希お姉ちゃんはどうするの?」
「生涯独身貫くよ? あたしの心はもう決まっちゃってるんだもん。先輩以外の人に嫁ぐ気はまったくありませんので」
「夏希お姉ちゃん、すごい……」
それほどの覚悟を固めて、誠一に振り向いてもらおうと努力する夏希を、雛未は素直にかっこいいと思った。
これで、またひとつハッキリとした。
夏希は、中田誠一でなければ女としての幸せを得ることはできないということを。
最後に雛未は、長女杏璃のもとを訪ねた。
「ねえねえ杏璃お姉ちゃん。ヒナ、聞きたいことがあるの」
「なにかしら? いまお姉ちゃんお勉強で忙しいの」
「杏璃お姉ちゃんは誠一お兄ちゃんのこと好……」
「愛しているわ」
聞き終わる前に即答する杏璃に「はやっ!?」と雛未は気圧された。
「あんなに男嫌いだった私が異性を愛することが不思議? でもね、雛未。女は変わるのよ? 運命の相手と出会って恋を知ると女は変わるの。ううん、これはもう恋なんて生やさしいものではないわね。女として愛する人に尽くす喜び。これほど素晴らしいことがこの世にあるだなんて知らなかったわ。雛未、運命は本当にあるのよ? 私がこれまで純潔を守ってきたのはあの人にすべてを捧げるためだったのよ。いいこと雛未。人には生まれた意味があるのよ。あの御方に全身全霊でご奉仕することが私の使命。それが私にとっての幸せ。ああ、考えるだけで恍惚としてしまうわ。あなたにもこの幸せを知ってほしいくらいよ雛未。ああ、誠一くん誠一くん誠一くん私の運命の人。私の最愛の人。あなた様のためなら杏璃はどんなこともする覚悟です……で、他に何が聞きたいのかしら?」
「ふえ~。聞いてもいないことまで早口で答えられた~」
雛未は泣いた。
逃げよう。本能的にそう思った。
もう十分である。
杏璃の気持ちは十分にわかったのでここは逃げよう。
すかさず雛未は回れ右をする。
「まあ待ちなさい」
しかし杏璃に肩を掴まれてしまった。
まだ話し足りないらしい。
「ヒナをお部屋に返して!」
「寂しいことを言わないでちょうだい。お互い同じ人を好きになってしまった者同士じゃないの。いい機会だから愛する人のことを存分に語り尽くそうじゃないの」
「いーやー」
そのまま雛未はズルズルと杏璃の部屋に引きずり込まれた。
「……まあ、私もお母さんとあなたたち妹の気持ちにはとっくに察しがついているわ」
小一時間ほど誠一の魅力についての一方的な語りが終わると、杏璃はようやく興奮が冷めたのか、雛未の質問に答えてくれるようになった。
「ただ、私はべつに誠一くんの一番になろうとか考えてはいないわ」
「どうして?」
「私はね、どんな形でも誠一くんの傍に居られれば、それで満足だもの。……だから、お母さんと再婚しようが、夏希と結婚しようが気にしないわ。むしろ喜んで祝福するつもり。私は秘書なり、家政婦なりになって、彼を支えて生きていければ……ただ私を傍に置いてくれれば、本当にそれでいいの」
雛未は驚いた。
普通、好きになった人には一番に思われたいと考えるはずだ。
しかし、ずっと異性を恐れて生きてきた杏璃にとっては、こうして特別な感情を抱ける相手と出会えたこと自体がとんでもない奇跡なのだ。
たとえ結ばれなくとも最愛の人のために生きていければ、本当にそれだけで幸福なのだろう。
雛未にとっては、理解しがたい愛の形であった。
「じゃあお兄ちゃんが『パパ』になったり『弟』になっても杏璃お姉ちゃんは平気なの?」
「誠一くんが『パパ』!? 『弟』!?」
「ぴぃ!?」
急に興奮しだした杏璃に、雛未は再び恐怖する。
「あ、ありね。そういうシチュエーションもありね……イイ。すごくイイわぁ」
荒く息を吐き出しながら、女性的な肢体をくねらせる姉の奇行に雛未は震える。
「お、お姉ちゃん? どうしたの?」
「ひ、雛未。お姉ちゃん、ちょっとヤラなきゃいけないことができたからお部屋出てくれる? また今度誠一様……いえ、誠一くんについて話しましょ?」
「ううん、杏璃お姉ちゃんとはもうお兄ちゃんのお話しない……」
そう言って雛未は逃げるように杏璃の部屋を退室した。
「……」
しかしひとつ気になることがあって、忍び足で扉の前に戻る。
扉に耳をあてる。
「……おっ♡ おぉっ♡ パ、パパ♡ 誠一パパ♡ ごめんなさい♡ 杏璃、義理の娘なのにパパのこと大好きな変態娘なの♡ おっ、おぉっ♡ お仕置きして♡ ママに隠れてパパにイケナイ気持ちいだいているダメな娘にお仕置きして~♡ おっ♡ おおぉんっ♡ パッパ♡ 誠一パパ~ン♡ おっ♡ おおン♡ ああ、ダメよ誠一くん♡ 義理の姉にこんなことしちゃ♡ 夏希が隣に寝てるのに……おっ♡ おおん♡ ごめんなさいご主人様♡ 義理の姉は夜だけはあなたの言いなりですぅ~♡ おっ♡ お~っ♡ イジめてくださ~い♡ 義理の弟にイケナイ気持ちいだく義理の姉にたくさん意地悪して~♡ おっ♡ おっ♡ おおおおン♡」
ほら、やっぱりオットセイの物真似をしているじゃないか。
録音して今度誠一に聞かせてあげようと思う雛未であった。
これで、またひとつハッキリとした。
杏璃は、ヤバい。
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