『まごころ』

やましん(テンパー)

『まごころ』


 『これは、フィクションであります。一部、事実があります。』






 腎臓から膀胱に達するステントの交換をしたあとは、大なり小なり、体調が不安定になりやすい。


 2年に一回くらいは、感染症が起こって、高熱が出る。


 入院になる場合もある。


 しかし、止めるわけにはゆかない。


 実質的に、一番困るのは、おトイレがやたら近くなり、我慢が効かないことだ。


 今回は、まあ、非常にましだったが、夕方がきて、回数が増えた。


 沢山出るわけでもないが、紙パンツでないと、湿地帯になる。


 

 その、夜中。


 びーちゃんは、帰ってしまい、一人でいた。


 『き、きましたああ〰️〰️〰️〰️〰️😧』


 2階からかけ降りて、おトイレのちょっと傷だらけの、なかなかすんなりとは、開閉しないドアを無理やりあける。



 『やれやれ〰️〰️〰️〰️☺️』



 と、思うそばから、また、出るぞ〰️❗


 という、信号が来る。


 『てやんでぇ、でなおしさあ。』


 ぼくは、ドアを開けた。



 『え?………あら。』


 そこは、おトイレの中だ。


 まてぃ〰️〰️〰️〰️❗


 そりゃ、おかしいでしょう。


 でも、そちらのおトイレに、入ると、ドアを締め切る。


 やりたいものは、しかたない。


 ちょっとしかでないが、じっこう。



 『やれやれ〰️〰️〰️☺️』



 では、と、ドアを開ける・・・・・


 

 な、な、な、な、んと。そこはまた、おトイレの中である。



 『いやあ、それはおかしい。あの名高いアニメか、ばけにゃんに、ばかされてるかい?』


 

 すると、でも、また、すぐに出たくなるから、困ったもんだ。


 紙パンツなんだから、無視しても、少々は大事ない。


 よし、無視だ❗


 ぼくは、ドアを開けた。



 『どぎょわ〰️〰️〰️〰️〰️👀‼️』


 またまた、その先は、おトイレの中だ。


 おかしい。


 時空に、なんらかの歪みが生じている。





 窓から出ようか。


 むり、窓は、小さすぎるよ。


 『おーい。』


 と、呼べど叫べど、反応ない。


 裏のお家には、聞こえそうなものを。




 『お手洗い



      ただ



     静かに風が吹くばかりなり』




 

 いやいや、なんかしなくては、と、ドアを、開けっ放しにしてみたが、なにも、景色に変わりはない。


 どちらも、おトイレだ。



 さささささささ。


 と、ごきぶりさんみたいに、いったり来たりしたが、なんの変化もない。


 

 こりゃ、まいったなあ。


 お腹すくし、のど、かわくし。


 眠たくもなるし。


 はあ〰️〰️〰️〰️、あ。


 

 やっぱ、部長あたりの呪いかな?


 いやあ、あの人に違いない。


 あの、いにしえの、ボス。


 

 ふ、ふ、ふ。


 意表を突いたのか。


 まだ、狙っていたのか。


 今ごろになって。


 でも、悪いのは、あんただろ。


 頑張ったんだよ。


 毎晩、深夜まで、ひとりで頑張ったんだ。


 あなたのためでもあったんだよ。



 しかし、何べんやり直しても、おトイレしか現れない。



 何百回、何千回、やったけど。


 だめだあ。




   ・・・・・・・・・・・



 やましんが、おトイレで孤独死しているのが発見されたのは、4日後であった。


 その真相は、まだ、誰も知らない。


 いや、本人にさえも、分からなかった。




            🚪  🚽


 

              end


 

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『まごころ』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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