(四)-2

 そんな中、大統領が議事堂正面の庭に設けられた演台に立った。私たちの位置からはかなり遠かった。肉眼で見ると、豆粒くらいにしか見えなかったけど、周囲を警戒するためにとチェン氏から渡された双眼鏡で見ると、ゲゲチコリが腕を振って演説している姿が見えた。残念ながら遠すぎて何を言っているかは聞こえなかった。

 すると、空に銃声が鳴り響いた。アブラゼさんの狙撃だろう。次の瞬間、双眼鏡の中で腕を大きく振り上げて演説していたゲゲチコリの頭が吹き飛んだ。かなり大きい口径の銃だったのだろうか、弾が頭を貫通するのではなく、頭そのものがつぶれるように四散した。


(続く)

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