異世界紋章~笑う赤鬼、福来る~

ロングアゴーン

プロローグ

「人生積んだわ……」


俺こと鬼灯猛臣は、自分の人生に絶賛絶望していた。


「あのバカ親がっ……借金1000万ってて…」


突然バカ親が書き置きをして姿を消した。

家に帰ると机の上に、

『父さんと母さんは、一攫千金の為にしばらく旅に出る!

金持ちになって帰るから、それまであとのことは全部頼んだぞ!』

と、書いたアホみたいな手紙が置いてあった。


「って!俺に押し付けんじゃねーよ!?

なんだよ、全部頼んだぞ!って!

頼まれた記憶も、了承した記憶もねぇよ!?」


一人の公園で叫ぶ俺。


「ただでさえ、会社クビになったってときにこんなのねぇだろ…」


嫌なことってのは、立て続けに起こるようで、今朝出勤すると


「鬼灯くん、君今日でクビね」


と、いきなり課長から告げられた。


「え!?いきなり!?

な、なんでなんですか!?」


「君、昔結構ヤンチャだったらしいね?

それに、体に刺青が入ってるらしいじゃないか」


「っ!?」


「どうやらその反応、本当みたいだね?」


「な、なんで…いきなり…そんなこと」


「伊矢那くんから、報告があったんだよ」


と、課長がいうと突然、伊矢那が割っては入ってきた。


「鬼灯くんみたいな不良とは怖くて仕事ができないんだよ!

それに君の噂だっていろいろ聞いているんだ!

君みたいな人がいると、会社の空気がわるくなるんだ!」


「は?」


こいつは突然何を言っているんだ?

確かに事実だが、それで会社や誰かに迷惑をかけたりしたことは無い。

むしろ、伊矢那が仕事を俺に押し付けていた。

言い方は悪いが、感謝こそされど、恨まれるいわれはないはずだ。


「そういうわけだ鬼灯くん。

悪いが、刺青や素行の悪い人間を雇うことはできない。」


「ちょ!課長!待ってくださいよ!」


「待たない。話は以上だ」


それから、話を聞いてもらえず

そのまま会社を去ることになってしまった。


「伊矢那の奴は何がしたかったんだ?…

嫌がらせか?」


伊矢那が何を思ってこういう行動をとったのか、いまだに理解できていない。


とまぁ、こんな感じで嫌なことが続いていた。


「ほんと、これからどうすっかな…」


呆然としている俺に、突然空から声がした。




『では、別の世界で一からやりますか?』




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