第11話 ティマヌへの道


アマンダが帰ってきたとき、すぐにティマヌ村でのことを伝えた。

戸惑っていたアマンダだが、長老の説得により、引き受けることになった。

「ティマヌにはカルク、リズ、イチロウも着いてくるから安心するんだ」

「イチロウも来るのか?」

アマンダは戸惑った様子だった。

それもそうだろう。

俺も着いていって役に立つかはわからない。

「イチロウはアマンダにとってのおまもりだ」

アマンダと俺は目を合わせ、長老の言葉に頷いた。


ティマヌの村へ行くのは命がけだった。

狩りや、村との交流はもはや隣町へ行くような感覚だったのだが、ここがジャングルでとても危険なところであることを俺はすっかり忘れていた。アマンダを先頭に、俺、リズ、カルクという並びで向かった。

滝、崖、壊れた橋とジャングルでは定番の危機もアマゾニスたちの手にかかれば

苦労は比較的軽減されるが、彼女たちに頼りきるわけにもいかないので、できるだけ自分の力で乗り越えた。

小柄であるタリパは一体どうやってアマゾニスの村へと来たのだろうかと思わず考えた。

「イチロウー。大丈夫か? 汗びしょびしょだぞ?」

「あ、ああ。しかし、こんなところをどうやってタリパは移動してきたんだろうな」

俺の疑問に対して、カルクは答えた。

「ティマヌ村の人たちは私たちより小柄かもしれないが、その分、身軽だからな。彼女とは会話しかしていないが、跳躍で3メートルは平気で飛ぶだろう」

「さ、3メートル!?」

「あのペイントは戦士の証でもある。彼女も相当な手練れだろう」

「タリパが……」

「アタシだったら絶対に勝てないなーカルクなら良い線は行くかもよ?」

リズが声を弾ませながら言った。

「イチロウは戦っちゃダメだからな」

アマンダが珍しく冗談を言い、俺たちを笑わせた。

ティマヌ村へどういう理由で向かっていたのか忘れるほどに。



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