第9話 飛ばない豚はただの豚・・


第一次世界大戦後のヨーロッパです。


世界大恐慌時のイタリア・アドリア海を舞台に、

飛行艇を乗り回す海賊ならぬ(空中海賊)・・

その空賊を相手に賞金稼ぎで生きる中年の飛行艇

乗りの物語でした。

ジブリ作品【紅の豚】です。


あの作品の中でポルコは言いました。

「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ」


そうですよ・・

たしかにそうだ。

私らは地面にしがみついて生きる豚み

たいなもんですよ。


食うために生きるのか・・

生きるために食うのか・・

どっちがどっちだか分からなくなっている。


時代が豊かだと大切な事が見えなくなるんです。


水道の栓をヒネってみてくださいよ。

出てくるのは水・・ただの水です・・

カルキ臭くて生ぬるいただの水です。


その水をペットボトルに詰めて・・

そのボトルをリュックに入れて・・

山に行くんです。


どんな山でもいいんですよ。

まあ、2時間も登ればいいと思います。


山道を2時間も登ればね・・

足は痛いし・・息は切れるし・・

喉もカラカラになりますよ。


下界を見渡してください。

遥か下の方に街が見えるはずです。

ずいぶんと高い所まで登って来たのです。


ああ、疲れた・・

喉が乾いた・・


ペットボトルを取り出します。

あのカルキ臭い水道の水です。


見て下さい。

水は輝いているはずです。


高い所で飲む水は美味しいのです。

豚だけじゃあない・・


水だって・・飛ばない水はただの水。

この水はこんな高い所まで来たんです。

飲んでみて下さいよ!


きっと旨いはずです。

ゴクゴクと喉をならして。


「うっめーーえ!」と声に出して言ったら・・

ほら!

あなた、もうすっかり・・

紅の豚だよ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る