うどんうんどう~初夏の目覚め編~

べてぃ

第1章 夏の始まり

第1話 プロローグ

「普通って、なに? どこで売っているの?」

 人生で初めて手にした自由の世界で、その疑問はわたしを日々苛んでいた。『普通』が成立し得ない僻地で育ったがために喪った学習機会は、あまりにも大きかった。


 これは、十八歳にしてようやく『普通』を獲得し始めたわたしという人間が、まだ見ぬ人々の惨禍さんかを防ぐために奮闘した、一連の出来事についての物語だ。

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