結束のライブ
トマトも柄
第1話 天使の歌声
そこはあるステージ。
そこに一人の羽の生えた子が元気に歌っています。
マイクを片手に空を飛び交ったり、踊ったりしながら歌を披露しています。
観客のみんなに大盛況でかなりの盛り上がりを見せて終わります。
「では、ここで本日の曲は終了しました! 皆さんお聞き頂きありがとうございました! ここで歌った曲は帰りの即売会で買えますので皆さん是非良かったらどうぞ! 後でボクも参加するよ!」
歌ってた女の子の天使はウインクをしながら話した。
ステージは大盛況で終わり、ステージ上で手を振りながら女の子の天使は離れていった。
ステージが終わった後の休憩室で先程の女の子が水を飲んでいる。
「セヌ君。 今日もお疲れさまでした」
大人びた女性が女の子に頭を下げる。
「え? まだ終わってないよ」
女の子は女性に返事をする。
「次は即売会でボクが顔を出してくるからまだ仕事が残ってるよ。 ボクを応援してくれてる聖歌隊の顔見たいし」
「聖歌隊?」
「ボクのファンの事だよ! ベルはお堅いな~」
「私はそんなにお堅くありません」
「ほんとかな~? じゃあ今から即売会に行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
セヌ君は即売会へ向かう。
「ボクがきたぞー!」
セヌ君は走って即売会へ向かって一言言い放つ。
「セヌ君きたー!」
聖歌隊のみんながセヌ君に反応する。
「今からボクが対応するからね! みんな帰ってないね!」
そこからセヌ君が対応して聖歌隊に笑顔でどんどん返していく。
「みんなー! ありがとう!」
聖歌隊もセヌ君に会えた事で喜んでおり、とても大満足していた。
「次のライブも楽しみにしててねー!」
セヌ君はみんなに手を振って聖歌隊を見送っていく。
「これでみんな見送ったね」
セヌ君が聖歌隊を見送った後で、スタッフと一緒に後片付けをする。
「今日のライブも大成功で終わって良かったー!」
セヌ君は成功で終わった事により、とても満足な顔をしていた。
「今回も成功で終わって良かったです。 では次のライブの準備の手配をしておきますね」
ベルが後片付けを終わった後で、次の手配を開始しようとしている。
「ベルは堅いよ~。 もうちょっと気持ち切り替えていこうよ。 今日はもうちょっと休んでいいんじゃない?」
セヌ君がベルに言うと、
「それもそうですね。 今日は息抜きでもしましょうか」
ベルがセヌ君の言葉に反応して次の手配を取りやめる。
「今日は終わったことだし、みんなで飲もうよー!」
そこでスタッフとベルとセヌ君でしばらくの休息を取るのだった。
後日、ベルが次のライブの手配をとる。
「セヌ君。 次のライブの予約取れましたよ」
「ありがとう。 じゃあ次のライブに向けて歌の練習しないとね」
セヌ君は次のライブに向けての練習を始める。
そして、徐々にライブの時が刻一刻と迫っていた。
前日にライブ会場にスタッフとベルとセヌ君が準備を整えていく。
「これで準備は全部整いましたね」
ベルが汗を拭い、一息つく。
「みんなー! お疲れ様ー!」
セヌ君がみんなに声をかけて、
「じゃあみんな明日に備えようか。 明日はみんなで気合入れよー!」
そこで全員はステージを後にしたのだ。
だが次の日にセヌ君達がステージを訪れるとステージが無残な事になっていた。
「え!? 何で!? 昨日あんなに準備してたのに!」
セヌ君が慌ててステージを確認する。
他のみんなも機材を確認する。
「これもダメ! あれもダメ! これも使えなくなってる!」
セヌ君の慌てふためいた声が聞こえてくる。
セヌ君はベルの方を見て確認するが、ベルも首を横に振る。
ベルもこの状況を見て、機材の修復は不可能と判断した。
スタッフも二人に近付き、
「ダメです。 機材の殆どが使えない状態になっています。 おそらく、昨日突発に吹いた強風で殆どやられたのかと……」
「昨日はかなりの強風だったものね。 まさか機材がやられるとは思わなかったけど」
スタッフとベルのやりとりにセヌ君は青ざめた顔になっていく。
「ボクのライブできなくなった……」
セヌ君は落ち込んだ顔をしているが、ベルは肩を叩き笑顔で返す。
「ライブは出来るわよ。 ただ、少し時間を頂戴。 すぐに準備するからね」
落ち込んだセヌ君を慰めて、ベルはスタッフに言い放つ。
「緊急用のプランBを発動する! スタッフはすぐ準備して!」
「はい!」
「セヌ君は控室で準備してて!」
「うん……」
セヌ君は落ち込んだ状態のまま控室で準備をする。
そこから準備でセヌ君は発生練習や水分補給を済ませている。
「どうやってライブをするんだろう……」
不安な気持ちはまだ残っていた。
その不安な気持ちを持ったままでいると、ドアからノックの音が聞こえる。
ドアからベルが出てくる。
「セヌ君。 音楽の準備間に合いました。 今から会場に向かいましょう」
「歌えるの!?」
「そのために準備したのですから。 さぁ向かいましょう!」
「うん!」
そして会場に二人で向かう。
セヌ君達が会場に向かうと、やっぱり機材の方は無かった。
セヌ君が周りを見てみると、機材のあった場所にスタッフが立っている。
そのスタッフは全員楽器を持っており、演奏する準備をしている。
「え!? どういう事!?」
ベルは目の前のピアノに座りながら、
「あら? 言ってなかったっけ? 音楽は準備したって」
「っていう事はもしかして……」
「私達が演奏するから。 それとこの紙のセリフ読んでね」
ベルが一枚のメモ用紙をセヌ君に渡す。
「え〜っと……。 みんなー! ラッパは持ったか〜!」
すると聖歌隊から歓声が上がりながらみんなラッパを掲げている。
「え!? 何でみんな持ってるの!?」
それは今日の即売会でグッズとして売り出す予定だったセヌ君ラッパだった。
セヌ君が驚いているのも無理は無い。
このグッズは今日のライブが終わった後の即売会で売る予定の物だったのである。
「今回の曲の出だしはラッパから始まるからね。 聖歌隊のみんなに協力して貰ったの」
「みんな……。 ありがとう! 今日も元気よく歌うよー!」
会場は歓声で埋められてラッパの出だしの音楽が鳴り始める。
これは後に新聞でも取り上げられ、見出しが『ライブのトラブル! 結束の力でライブを成功に導く』と書かれていたのである。
結束のライブ トマトも柄 @lazily
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