鶴の恩返し

 罠にかかった鶴を助けた人の良いおじいさん。次の日、おじいさんとおばあさんの家を、美しい娘が訪ねた。

「夜分すみません」

「おお、あんたはこないだの。おい、ばあさん、こないだの鶴が来たよ」

「あら、ほんと」

「元気そうじゃのー」

「もう、怪我はいいの?」

「あがれあがれ」

「へえ、鶴って化けれるのねえ。その着物、着てるの? 羽根なの?」

「これこれ、ばあさん。もち羽根じゃろ。白いし」

「わざわざ礼を言いにきてくれたんかの」

「犬は三日飼えばって言いますけど、律儀ねぇ」

「鳥は三歩歩けば忘れると言うのにな!」

 わははと笑うおじいさんとおばあさん。

 娘は、俯いてぷるぷる震えたかと思うと、ぱっと鶴の姿になって一声鳴くと飛び去っていった。

「鶴って鳴くのねえ。チクショーって」

「ちょっと泣いてた気もするな」

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