第14話
「でもあれだな? 言葉だけだと安心できないだろうし、実際に見てみるか?」
「実際に見てみる?」
「それって何をですか?」
熊翔が何かを思いついた顔となって言うと、レオーラとパルコーは揃って首を傾げ、それに対して彼は答える代わりに光の板を呼び出して二人に見せた。
【迷宮】???
【主人】小森熊翔
【秘宝】厄病呪毒若命鏡鎧
【階層】2
【成長】0/100
【脅威】C-
【MG】カラミティーズ(18/18)
【CG】54
【FG】2/2
【設備】光と癒しを否定する闇
【称号】新たに産まれた迷宮
【道具】魔法の鎖鉄球付き大剣「呪縛の鎖と死病の刃」、魔法の戦槌「厄難を刻む毒牙」、魔法の散弾銃「災いを撒き散らすもの」
光の板に表示されているのはダンジョンのステータス画面で、それをレオーラと一緒に見ていたパルコーがある事に気づく。
「あっ、【階層】が一から二になってます。これってもしかして……?」
「そうだ。丁度今日の朝に【成長】の数値が貯まって新しい階層が作られたんだ」
「なんだ、そうだったのですか」
この数日間引きこもっている間に新しいダンジョンの階層が作られて守りが強化されているという事実に、レオーラは安心した表情となると新しく作られた階層に興味を持った。
「それで旦那様? 新しい階層は一体どんな所なのですか?」
「どんな所って……まあ、見た方が早いな。二人共、見に行くか?」
熊翔が聞くとレオーラとパルコーは頷き、彼はダンジョンへと続くゲートを作り出すと全員で新しく作られたダンジョンの階層に転移した。
ダンジョンの新しい階層はそれまでにあった階層の上、あるいは下に作られて、侵入者は最も新しい階層に転移される。そしてダンジョンマスターは新しく作られた階層の構造をある程度自由に決めることができ、熊翔も新しい階層の構造を自分で決めたのだが……。
「な、何もありませんわーーーーー!?」
大声で叫ぶレオーラの言葉の通り、熊翔が構造を決めた新しいダンジョンの階層は、何もないただ広いだけの空間であった。
「ちょっと旦那様!? これはどういうことですの? 何も無いではないですか!」
「うわー……」
フレッシュゴーレムとなったことで暗闇に包まれたダンジョンを見通せるようになったレオーラは、新しいダンジョンの階層を見て大声を出して驚くと熊翔に食ってかかる。そしてその隣では口元を引きつらせたパルコーが呆然と何もない空間を眺めていた。
レオーラとパルコーの反応もある意味仕方がないことだろう。
ダンジョンに新しい階層が作られたのはいいが、敵を排除する罠もなければ行く手を阻む壁すらもないただ広いだけの空間で、一体どうやって侵入者を撃退しろというのか? ここまでダンジョンを守る気というかやる気が感じられない階層もある意味珍しいと言える。
しかし新しい階層を何もない空間にした熊翔からは悪びれる様子も、ダンジョンの構造を決めるのに失敗して焦っている様子も見られなかった。
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