いつも頭が痛い俺は脳天気なキミが好き

@osn33

今日も世界は頭痛を呼ぶ

 突然だが自己紹介をさせてもらう。


 俺の名前は秋月皇雅(あきづき こうが)だ。名前の割に皇族という訳でもなければ、雅な見た目をしている訳ではない。社会的に見れば単なる高校2年生だ。


 身長173cm、体重65kg。趣味で習っているキックボクシングのお陰もあって身体つきはそこそこ筋肉質でーー、うん?筋肉自慢は要らない?それは失礼した。


 さておき、俺が通っている公立高校、坂上(さかのうえ)高等学校は、偏差値的に下から数えた方が早いくらいの公立高校だ。


 特段力を入れている部活動がある訳でもなければ、就職率、進学率が高い訳でもない。


 強いて良い面を上げるならば、校則が緩く、制服のクオリティが非常に高いということくらいだ。ーーというより、この公立高校を受験する九割以上の生徒が、そのクオリティの高い制服目当てで入学していると言っても過言ではなかった。


 何を馬鹿なことをと思うかも知れないが、実はこの制服、坂上高等学校の現状を考えれば奇跡としか言いようがない、世界的なファッションデザイナーとなった卒業生が特別にデザインした代物でーー。


「秋月君、秋月君♪」


「…どうしたんだ?大和(やまとじゃなくて、おおなごみ)さん?」


 思考の外から届いた緩くも弾んだ声に視線を向ければ、隣の席に座る大和のどかは「やまとじゃなくて、おおなごみって誰に説明してるの?」と首を傾げた後、ぽけ〜とした顔でにま〜と笑った。


「ただ呼んだだけ〜♪」


 そして、彼女は満足気な表情を浮かべると、何事も無かったかのように黒板へと顔を戻し授業へと戻っていった。


 そんな彼女に俺はこの世界は何と素晴らしいのだろう、と胸中に広がる感動を深く深く噛み締めるのだった。

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