裏切られた俺は再び歩き出す

第1章 心の迷宮

プロローグ

 換気の為に開けた窓から不快な臭いが出ていく代わりに、冷たい秋の夜風が吹き込んでくる。冷たい空気が浸食した暗く静かな部屋で、心身共に疲れきった私はベッドの上に仰向けで倒れ───泣いていた 

 枕元に置かれたデジタル時計は深夜の1時を知らせている。この状態で30分が経過した事になる。この間室温もそうだけど、汗で濡れた服を着ている私の体温は下がっていて、このままだと風邪を引く可能性がある。

 仕方が無く重い腰を上げベットから降りると、窓ガラスに反射して映った自分と目が合った。


「酷い顔」


 辛い現実と共に目を逸らし着替えを手に取る。その一瞬自分の顔を見ただけだけど、自分の頰を伝う一筋に涙を、私は見逃さなかった。

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