第164話
一階に降りて行くとウッドデッキに置かれたテーブルには所狭しと料理が置かれていた。
備え付けのテーブルの他に持ち込みのテーブルが置かれ、その上には私の果実酒を含むお酒やノンアルコールドリンクが置かれている。 長谷川さんご所望のビールサーバーもあった。
コンロではお肉や野菜が焼かれている。 焼いてるのは意外にも菅井さんだった。
「まあ」
こんな野外での豪快な料理は初めてだったらしい。 目を輝かせて見ている。
「こちらにどうぞ」
春子さんに誘導され上座へ誘われた。 椅子を引き座ってもらい椅子を押す。
その隣に私が座り向かい側にオーフェンさんと春子さんが座った。
席順はオリヴィア様、私、灯里、マッヘンさん、倉敷さん、対面側にオーフェンさん、春子さん、長谷川さん、相良さん、菅井さんとなった。
菅井さんや倉敷さんが端に座ったのはバーベキュー台で好きに焼けるのと飲み物の取りやすさからみたい。
オリヴィア様は皆で同じテーブルについても嫌悪感はないみたい。 良かった。
……それよりもテーブルに置かれた料理の数々に目を奪われているみたいだね。
「灯里、ありがとう」
小声で隣に座る灯里にお礼を言う。
「どう致しまして」
ふふっと笑う灯里に癒された。
「オリヴィア様、お飲み物はいかがいたしますか?」
春子さんがオリヴィア様に問いかける。
「何があるのかしら? お薦めを教えて頂けますか」
「かしこまりました」
オリヴィア様にそう返されニコリと微笑みを返すと春子さんは席を立ち飲み物が置かれたテーブルからいくつか瓶の飲み物を持ってきた。
「こちらのお食事、食前酒でしたらこちらの飲みやすいシャンパン、ワインでしたら白ワインのシェリー酒、あちらのエールと似たビールもございます」
「そうね……、こちらのシェリー酒を頂こうかしら?」
「かしこまりました」
シェリー酒のコルクを抜きテーブルの上に置かれたグラスに注ぐ。
「果物のような香りがするわ」
シェリー酒が注がれたグラスを手に取りコップの縁を鼻先へ近づけて香りを楽しむオリヴィア様。
「はい、果物から出来たお酒でございます」
「そうなの? ……いい香りね」
嬉しそうに微笑む。
「果物のお酒は色々とございます、酒精がエールよりも強いのでゆっくり楽しんでください」
「分かりました」
春子さんは次にオーフェンさんの前のグラスにも同じのを注いだ。
「ありがとう、春子」
「桜さんたちはどうする?」
「私はレモンサワーにします」
アイテムボックスから缶のサワーを取り出しグラスに注いだ。
灯里は何が良いと聞くとカルピスサワーと答えたので、アイテムボックスからカルピスサワー取り出し注いだ。
「ありがとう」
男性陣は各々好きな飲み物をグラスに注ぎ、みんなの手に飲み物がいきわたったのを確認し頂きますと挨拶をした。
おずおずとグラスに口をつけコクリと一口、口に含むオリヴィア様。
まじまじと観察しては悪いと思いつつ、私を含め春子さん、灯里、席が離れた長谷川さん辺りが様子を伺っている。
オーフェンさんはオーフェンさんで初めてのお酒なので自分のお酒に集中しているようだった。
「あら……?」
「……どうですか?」
「凄いわね、口に含んだ瞬間香りが口中に広がったわ、苦みも少ないのね。 ……エールよりも飲みやすい」
口元を手で隠しつつそう感想を述べるオリヴィア様。
嬉しそうに話す姿に様子を伺っていた人たちは微笑ましそうに見つめた。
「オリヴィア様、食事はどれを取り分けますか? 今日の食事はコースではないんです。 好きなものを好きなだけ食べるんですよ」
「そうなの? 困ったわね、どれもとても興味深いわ」
見慣れない食べ物に飲み物、どうやって食べたらいいか真剣に悩んでいる。
取りあえず食べやすそうで馴染み深いサラダ辺りからお皿に取り分けていった。
食事も進むと自分で選んでみたくなったらしいオリヴィア様が席を立ち、飲み物のテーブルへと近づいていった。
私も補助として横に付いていく。
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