第163話
「お久しぶりでございます、オリヴィア様」
「久しぶりね、オーフェン」
オーフェンさんと春子さんはオリヴィア様と既に顔見知りだったみたい。 そりゃあっちの生活長ければ会う機会もあるか。
挨拶を交わして居る間に相良さん達に部屋割りを伝えた。
倉敷さんやマッヘンさん、菅井さんはオリヴィア様にあまり興味を惹かれなかったらしく軽く挨拶だけして和洋室に引っ込んで行った。 あれは絶対魔道具の改良をするな。
「オリヴィア様、建物の中を案内したのちお部屋へ案内致します」
「宜しく頼みます」
挨拶を終えたタイミングで声をかける。
柔らかな笑みとともに返してくれた。 そして建物内を案内して歩いた。
「これは何かしら?」
案内してて分かったのはオリヴィア様はこちらの世界にとても興味津々という事だ。
手始めに土足禁止で戸惑っていた。 リビングから椅子を運び腰掛けてもらいスリッパへと履き替えてもらう。 慣れない様子だったので私が手を差し出しエスコートした。
続いて稼働してある空気清浄機をしげしげと触り、送風口に手を当てて、ボタン操作で風の強さを選べることに驚いていた。
壁に備え付けのテレビに興味を惹かれリモコンでつけては消して裏側を見たり不思議そうに見ていた。
まだ日が出ており明るいとはいえ室内だから電気つけたほうがいいかなとリモコン操作で電気をつけたらビックリされた。
こんな感じで何にでも良い反応をしてくれるので説明がどんどん楽しくなっていき、最後の寝室を紹介する頃にはだいぶ打ち解けていた。
オリヴィア様は聞き上手だね。
「不思議ね、森は見慣れているはずなのに全然違うのね」
「はい、私もあちらの森に着いた時は不思議な感覚でした」
二人で寝室のベランダに備え付けてあるハンモックに揺られながら森を見る。
一緒に案内してくれた春子さんと灯里はアイテムボックスから食べ物を移動させてバーベキューの準備をしに行った。
最初は私が準備しに行こうかと言ったのだが春子さんに、優先する順番を違えてはいけないと小声で諭されたので大人しく二人に任せた。
「あら? 森の奥に何か見えるわね」
「はい、あれは海でござます」
「海? 森の中に海があるの?」
「いいえ、海のそばに森があるんです。 この国は海に囲まれてます」
「そうなの? 海は……書物では読んだことがあるわ。 実際に見るのは初めてね。 とても輝いているのね」
穏やかに話すオリヴィア様はそう言って海を静かに眺めた。
「バーベキューの準備出来ましたよ」
夕飯の時間になり灯里が部屋に呼びにきてくれた。
「ありがとう! ……オリヴィア様お手をどうぞ」
「ありがとう、ふふ……楽しみね」
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