第105話 防御と一体感
ひゃあぁぁあ!!
思わず目を瞑る。
体感で1分ほど続いた音が小さくなりそっと目を開ける。
「うわぁ……」
森の中に一直線の道ができていた。
見える範囲でもあのブレスに掠ったと思わしき魔獣の残骸が散見された。
遠過ぎて視認できないけど、相良さんと下級地竜が居た場所から続いているんだろうなと思った。
そう言えばと防御魔法を見るが傷一つ付いてなかった。
後ろを振り返って見る。 ネーアの街も無事だ。
魔力をしこたま込めただけのことはある。
変なところに感心してしまった。
「凄いわね」
「ですよね」
「いや……桜さんもよ?」
「桜! 何これ!!」
ブレスに対し暢気に感想を言う私と春子さん。
灯里がでっかい蟻の頭を殴り破壊しながら駆け寄り問うてくる。
さっきからそんな力で殴ってたの?!
「下級地竜のブレスだって相良さんが言ってた」
「地竜!?」
「そんなのまで湧いてたのね」
「おいおいおいおい今のは何だ!! 何かとんでもない名前が出たぞ?!」
冒険者を振り切ったギルマスのガドラスさんが赤い鬼みたいなのをぶった斬りながらこちらにやって来た。
ガドラスさんも戦えるんだ。
さっきみたいに大勢に押さえつけられたら流石に厳しいみたいだけど。
さっきからグロテスクなのを見過ぎたせいかちょっと慣れた……いや慣れないな。
切り口といい蟻の頭と言いグロテスクだよ……うぷ。
「桜さんもう一回行きますよ!!」
「ほあっ?!」
イヤーカーフから相良さんの声が聞こえた。
地鳴りが聞こえ、ブレスによって出来た道を見たら眩い光が見えた。
「
「桜さん?」
地響きを起こしながらまっすぐ来る光の塊。
「ひぃいいい」
遮るものがないから差し迫る様子が見え恐怖が増す。
直接見ると怖いいいい!!
「おい!! 何だあの光ってるやつ!!」
「こっち来てるよ!! きゃああ!!」
私の後ろにいる灯里やガドラスさん、冒険者達も実際に視界に入るようになり騒ぎ始めた。
目前まで迫った光の塊は意外とでかかった。
防御魔法と光の塊……ブレスがぶつかった。
再び衝撃音が辺りに響いた。
音が小さくなり辺りを見渡すと皆呆けたような顔をしてた。
ぉおおおおおおおおお!!!!!!
間を置いて騒がしくなる。
「おー!!!!」
拳を空に向かって突き上げ決めポーズを取る。
ぉおおおおおおおお!!!!!!
アレを乗り切ったという一体感で変な高揚感が当たりを包んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます