第55話 検証3



「まだ昼食まで時間あるね」


「そうだね。ショップでも見る?」


「見に行こうか」


手で扇ぎながらエレベーターに乗り込む。


「何階だっけ?」


「1階じゃないかな?…あ、ほらここに書いてある」


エレベーターの階層案内に書かれていた。


1階のボタンを押しショップへ移動した。


「あー可愛い!」


「待って灯里…ってこれなんだろ?縁日?」


「ん?どうしたのって…駄菓子屋さん?」


「そう見たい。あーでも17:00からだ。やってないみたい」


「残念だね」


ショップへ行く途中に何やら縁日っぽい場所があった。


ただ明かりはついておらず入り口は閉まっていた。時間を見ると17:00-21:00となっている。宿泊者限定みたいだ。


突っ立っててもしょうがないのでショップの中に入った。


白と赤でカラーリングされたショップは可愛らしい。


商品は地場の野菜を使ったドレッシングや柑橘類のジュースやお菓子、地元の名産品の染物、地酒等があった。


今回何買おうかな?


地酒を一つとお菓子…どれも美味しそう…。


店内をウロウロする。


んーせっかくだから地元のレモンを使用したパウンドケーキにしようかな?


あーでもジュースも気になる!


…………えーい!買っちゃえ!


カゴに入れてレジへと向かった。


「お会計3960円になります」


支払いを済ませ灯里を待った。





「さあご飯食べに行くぞー!」


「おー!」


再び最上階にレストランへ行き受付を済ませる。


「ここもいい眺め」


「うん。夏だと窓全開なのかな?」


壁二面が全面ガラス張りとなっていた。


席へ案内されバンキング形式の為、早速料理を取りに行く。


今回は私が先だ。


トレイを持ち皿を乗せる。


…流石だ。魚が美味しそう。


はまちに鮪に鯛…柚蒟蒻なんてのもある。


少しづつ取って進んでく。


鯵の南蛮漬けに煮付け塩麹漬けどれも美味しそう。


あ…天ぷら…ロール寿司もある!


ちょこちょこ取ってお皿に山盛りにしてから席に戻った。


代わりに今度は灯里が取りに行き時間をかけて戻ってきた。


「種類多すぎだよー」


「分かる。私も取りすぎた」


灯里のトレイには二つのお皿が乗っており一つ目のお皿にはお寿司がぎっしり並んでた。二つ目のお皿には魚料理が積まれてた。


「じゃあ食べようか」


「うん!お寿司久々~」


「「頂きます」」



最初の一口目は二人とも味わい、美味しさからついつい食べるスピードが上がってしまった。


デザートは二人で全部制覇した。さつまいものソフトクリーム美味しかった。


「次は一階の露天風呂だね」


「待って、ちょっと休憩させて。お腹苦しい」


お腹をさする灯里。私もだいぶ食べ過ぎた自覚があるのでお腹を撫でる。


エレベーターで一階に行きロビーで休憩する。


「灯里、胃薬いる?」


「ちょっと欲しい~」


アイテムボックスから胃薬と水を取り出し灯里に渡した。


「ありがとう」


ペットボトルのキャップを開け薬と水を飲んだ。


「…よし。行けそう!」


しばらく灯里はスマホ、私はタブレットを弄って久々のネットを楽しんだ後に露天風呂に移動した。


「すごいすごい!!」


露天風呂は床も壁も石で出来ており洞窟を思わせた。


露天風呂というより半露天風呂みたいな感じ。


壁の一部からお湯が流れて滝のようになっている。


洞窟を抜けると木々が有りその先が海だ。


一階なのに景色が良い。ここって丘の上にでも経ってるのかな?


一度洗ったので体を簡単に洗い湯に浸かる。


「ちょっと寒いけど気持ちいい」


「そうだね。湯気も凄い。お湯に浸かると前見えないね」


「あははは」


「そう言えば今日はSランクの冒険者戻ってきたの?」


「…………明日戻ってくるって」


「そっか…」


「はぁー嫌だなー」


そう言う灯里の声は昨日の切羽詰まった感じから和らいでいた。


「…なんかね。今日ここに来れて、家族と久々に会話したら気が楽になったの。こっちで働いている自分も分かって…あっちの世界に居れる事って貴重なんだなって実感した。あんなストーカー野郎のせいで戻るなんて勿体ないなって思ったの」


「それは良かった」


「…桜……連れてきてくれてありがとう」


「どういたしまして。ってまだ解決に至ってないからね。私明日冒険者ギルド行ってどんな奴か面拝んじゃうからね!」


「あの人会話通じないから気を付けてね」


「分かった!」


灯里が元気になれたなら良かった。


「またこっち連れてきてね」


「毎日でも!」


そう言ってのんびり浸かりホテルを後にした。




「じゃあまた明日!」


「また明日ね」


宿の自室に戻ると時刻は23時過ぎだった。


灯里に今日も泊まっていけば?と言ったが今日は自宅に帰ると帰って行った。


あっちのホテル出る時が16時ごろだからあっちの滞在時間が約6時間、こっちの時間の進みも約6時間。


時間経過は同じ?あっちで滞在した時間だけこっちでも進む感じかな?


さてと。


ベッドに腰掛け魔法を使う。魔力を見ると魔力は回復され10,000,000になっていた。


何からやろう?

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