第3話 交際の終わり

 十二月に入り、真奈美とクリスマスどうしようかと話していると、不意に彼女が泣き出した。


「どうした? 何があったんだ?」


 そう問いかけるも真奈美は何も応えてくれない。さっきまで楽しくクリスマスの予定の話をしていたのに訳が分からない。


(いや、もしかしたらマキ先輩の事気づいてるんじゃ……? それよりも今は真奈美を落ち着かせないと)


 そう考えていると、彼女が嗚咽混じりに口を開いた。


「ねぇ……ひっく……どうして?」

「何が?」

「ぐすっ……どうして何も話してくれないの?」

「え、いや、何を?」


 意味がわからず狼狽えていると、涙が溢れた瞳で俺を見る。


「……マキ先輩のことだよ」


(やっぱり気づいてたのか。だとしたらいつから?)


「……知ってたんだな。いつから?」

「私達が付き合った後、マキ先輩に聖人の事狙ってるから邪魔しないでねって言われて……そしたら次の日聖人と寝たって言ってきた」


(まさか真奈美にそんな事言ってたなんて……だから彼女が居ても気にしないって言ってたのか)


「……ごめん」

「……もう我慢出来なくなっちゃった。別れよ」

「そう……だな」


 俺の責任で別れる事になったが、俺には罪悪感は全く感じられなかった。

 この時にはもう俺の中の何かが狂っていたのかもしれない。

 

 真奈美と別れ、マキ先輩とも付き合わず、身体だけの関係がマキ先輩が卒業するまで続いた。

 その間、違う先輩とも関係を持ち、交際を申し込まれたが付き合わなかった。もしかしたら、またマキ先輩が絡んでるんじゃないかと思ったからだ。

 それに身体だけの関係の方が気が楽だった。

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