ふたりの秘密

宗京 季沙

第1話 幸せな夢

毎日語ったあなたとの夢

永遠に幸せなときが続くことを願った


「もういいかい?」

「まぁだだよ」


小さい頃によくした遊び。

夕方になるまで友達とした、かくれんぼ。


あなたは覚えているのかな。

いつも二人で隠れていた。


「みーつけた」


鬼に見つかって、二人一緒に鬼になる。

ふたりだけの特別なルール。


「二人はいつも一緒だね」

「仲良しだよね」


言われるたびに、顔を見合わせて照れたようにわらってた。


「まるで兄妹みたいだね」


あなたも私も、兄妹みたいだと言われることが一番嫌いだった。

それでも、兄妹でいいから一緒にいたかった。


そのころの私の世界はあなたで満たされていた。

まさに小さな世界の中心はあなただけ。

毎日毎日一緒に遊んで、一緒に過ごして、何をするのにもずっと一緒。


お話して、一緒に遊んで、ご飯を食べて……

何よりも大好きだったのは、一緒にするかくれんぼ。

鬼に見つかるまでの間は、二人だけでいられる。

小さな声で、ひそひそ声でいろんな話をしたね。


「ねぇ、僕たち友達だよね?」

こそっとあなたが聞いてくる。

「うん。わたしたちは友達だよ」

私もこっそり返事をする。

「ずっと一緒にいようね。それで大人になったら、一緒の家に住もう?」

「うん。早く大人にならないかなぁ」

「みんなには内緒だよ。怒られちゃうから」

「お父さんたち、みぶんそうおうって良く怒るもんね」


これが二人だけの秘密。

忘れることのない約束。


「私ね、ずっと一緒にいたいの。これからもずーっと」

「いいよ、一緒にいよう。ずっとのことを『えいえん』って言うんだって。昨日お母さんに教えてもらったんだ」


あなたは覚えたての言葉を私に教えてくれたんだったよね。

「じゃあ、えいえんに一緒っていうの?」

「そう。僕たちはえいえんに一緒なんだよ」


そう言うあなたの声はとても温かく、あなたの笑顔はとても柔らかかった。

「しーっ。誰か来た」


人の気配がすると、急いで声を潜めたね。

ドキドキしていると、あなたが手をつないでくれて安心できた。

この時が永遠に続けばいいと、子どもながらに思っていたの。

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