第2話

「おはよう〜、」

「おはよー、莉斗」


いつものように学校へ登校し教室に入り、友達に挨拶をする。この子は小学校から仲良くしてくれている笠梅涼香(かさう すずか)。


私が唯一私の初恋について話した、信頼出来る友人。他の人には「バカにされてしまうかも、」という恐怖心から話せていない。


修学旅行の時の夜に「初恋について語ろう!」って言われた時はどうしようかと思った。何とか「まだ恋していないからわかんない」で押し通した。


「ねえ、莉斗、聞いた?今日転校生来るらしいよ!」

「え?転校生?こんな夏休み直前に??」

「ね、それは思った。なんで中途半端な時期に転校してくるんだろう?なんなら夏休み明けまでサボっちゃえばいいのにね。」

「それなぁ。わたしならそうする。」


ぼんやりと2人で話していると朝のSHRの予鈴がなる。先生が入ってきて、周りの人がせきにつきはじめる。


かくいう私たちもそそくさと自分の席に戻った。



「きりーつ、礼ー、」



日直の号令に合わせてクラスの全員が起立し、先生に向かっておはようございます、とら一斉に言う。先生も、はい、おはよう、と生徒に返す。


私の担任の先生は草見杏(くさみ あん)という女の人で、サバサバしている体育会系の先生だ。なのに担当教科は日本史という。なお、私はまだこの先生に日本史を担当してもらったことは無い。


じゃあ、出欠確認してくな、と言って名簿を開く。1人づつ名前が呼ばれていくが、私はこの時間が本当に苦手だ。


私の席は1番後ろだ。

この前の席替えで勝ち取った。この前の席替えというのは、先生が「休み明けに席替えするのはなんか忙しくて流れちゃいそうだから今やっていい?」と先日の自習の時間に言い出したものだ。


話を戻そう。この席は先生から1番遠い。ということは、他の人よりも声を出さなくてはいけないの。私はこの、音量調節が苦手なのだ。


余談だけど、1番後ろの席になったことで、その時まで奇跡的に隣の席だった涼香とは離れてしまった。涼香は前から2列目の席になったと嘆いていた。



「はーい、静かに静かにー!どうせ噂になってるだろうけど、このクラスに新しく入ってく子がいます。今から入ってきてもらうけど、うるさくしないように。他のクラスは普通にSHRしてるんだからね!


んじゃ、入って。」


がら、っと音を立てて開いたドアから入ってきたのは、スラリと背が高くて足が細く、、目はぱっちり二重、顔も小さい、


ボーイッシュな女の子だった。


髪が短い。女子の制服を着ていなければ男子だと勘違いしてしまうほどかっこいい。


「はい、じゃあ自己紹介してくれる?」


黒板に彼女の名前と思われる文字を書きながら先生はそういった。


黒板には、「辻見 実佑」と書かれていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

好きな人 ぽん @pon8587

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る