神家庭教師の僕は教え子のパンツが見たい~最強魔法使いは育成しながらハーレム目指す~

蒼守

第1話 パンツを見せてくれ

「パンツを……見せてくれないかな?」


 僕は目の前に座る女の子に、開口一番そう言い放った。


「は、はぁ?」


 しかしどうやら女の子は僕の言葉を聞き逃してしまったらしく、首を傾げる。

 仕方ない。

 今度はちゃんと聞こえるよう、もう少し大きな声で言おうか。


「君のパンツを――」

「いや声は聞こえてるから!」


 すると女の子の隣りに座っていた女性が僕に言う。

 おかしい。

 ちゃんと聞こえていたのなら、何故この女の子は僕に未だパンツを見せてくれないのだろう。


「そんな不思議そうな顔しないでくれる!? 自己紹介もせずにパンツを見せてなんて話がまかり通る訳ないでしょ!?」

「なるほど。自己紹介が足りなかったのか」

「いやそれだけが問題じゃないけどね!」


 僕は再び女の子に視線を合わせ、出来るだけ優し気な口調で自己紹介をする。


「初めまして。今日から君の家庭教師になるリロイだ。色々言いたいことはあるけど、まずは……君のパンツを見せてもらえるとありがたい」

「パ、パンツ……?」

「なんですぐパンツにいくの、アンタは!」


 なんでって言われても、そりゃパンツが見たいからである。


 先程から僕に文句ばかり言ってくるこの女性は、女の子の母親だ。

 僕の小学校の担任だった教師で、僕がここ帝都で家庭教師として働いていると知り自分の娘の先生として雇ってくれた。

 凄く嬉しい。


「はぁー。中学の頃は真面目で優秀な生徒だったのに、どうしてこうも変わってしまったのかねぇ」

「人間、誰しも成長しますからね」

「教育者として、これを成長とは呼びたくないよ私は」


 失敬な。

 確かに僕は中学の時、優等生キャラで通していた。

 たがそれはその方がモテると幼馴染に騙されていたからだ。


 なぁにが、頭のいい男はモテる。優等生は女の子の理想、だよ!

 全くもってモテないじゃないか!


 周りを見回しても女の子にモテるのはチャラチャラしたバカそうな男か、不良っぽいバカそうな男ばかり。

 勉強に励んでいる男は、僕を含め誰一人としてモテていなかった。


 そして僕は悟ってしまったのだ。

 あぁ、一度きりの青春を無駄にしてしまったと。


 だから僕は、魔法学校を卒業してすぐに家庭教師となった。

 勿論、高尚な理由からではなく、教え子との間に禁断の恋が芽生えることを期待してである。


 失った青春を取り戻すためにはもはや手段は選んでいられなかったのだ。

 可能な限り女の子が生徒になるように、女の子だけ授業料は割引価格。

 教える時も、男は雑にスパルタ指導だったが、女の子には丁寧にそして優しく笑顔を心掛けた。


 家庭教師になって早一年。

 これだけ努力しているのにもかかわらず、まるで恋が芽生える気配はなかった。

 一体僕はどうすればモテるんだ……。


「お母さん、こんな変態が先生で本当に大丈夫なの? あたし凄い不安なんだけど」

「だ、大丈夫よ……たぶん。これでも私が教えて来た教え子の中では一番頭が良いんだから」

「ふーん。いまいち信用できなそうだけど……まぁお母さんがそこまで言うならあたしも認めてあげる」


 そして僕の目下の標的は先生の娘さんであるこの子。

 なんとかしてこの子には僕に惚れてもらわなくちゃいけない。

 そして僕とこの子のラブラブっぷりを、あの忌まわしき幼馴染に見せ付けてやるのだ。


「あたしはルナ。しょうがないからアンタの事は先生って呼んであげる」

「それは嬉しいな。よろしくね、ルナ」


 僕とルナちゃんはガッチリと握手を交わす。

 やはり何度体験しても、年下の可愛い女の子に先生と呼ばれるのは気分が良い。

 これだけで僕の空虚な心は満たされ、明日も頑張って生きようという気持ちにさせられる。


「それで? 僕はルナに、何をどの程度教えれば良いのかな?」


 出来ればエロいことを一杯教えてあげたい所だが、流石にそう上手い話もあるまい。

 というか、僕はあの幼馴染のせいで現役バリバリのチェリーボーイ。

 むしろエロいことに関しては、僕の方が色々教えてもらいたいくらいだ。

 どこかに、そういったこと専門の大人なお姉さん先生はいないだろうか?


「魔法を教えて欲しい。あたし、再来週のテスト結果次第でBクラスに降格しちゃうの。だからAクラスに留まれるように魔法を教えて」


 ルナちゃんの母親である先生からも、おおよその話は聞いていた。

 なんでも、先月から通い始めた魔法学校での成績があまり良くないらしい。


 魔法学校はS、A、B、C、D、E、Fクラスに分かれており、それぞれ成績順に割り振られる。

 Aクラスと言うと、かなり優秀な部類だ。


 当然、上のクラスの方が学校側から色々と優遇される。

 施設の優先使用権だったり、担任の先生の優秀さもあるが、特に大きいのは授業料かな?

 確かSクラスが授業料完全免除で、Aクラスは授業料半額免除……だったはずだ。


 上の方のクラスであればあるほど、卒業後の進路も選びたい放題になるし、一クラス違うだけもその後の人生がまるっきり変わってしまう。


 クラス替えも年中行われており、少しでも気を抜けば一瞬で下のクラスに降格させられる完全競争主義の厳しい学校なのだ。


 そして魔法学校の授業料は他の学校に比べても半端なく高い。

 もしルナちゃんがこのままBクラスに降格してしまったら、貴族でもないルナちゃんの家庭にはとんでもない大打撃だろう。

 クラスの降格が原因で授業料が払えなくなり、自主退学したという生徒の例も枚挙に暇がない。


「……やっぱ無理?」

「無理そうなら断ってくれても良いんだよ?」


 僕が懐かしき母校について思いを馳せていたら、ルナちゃんと先生が心配そうに僕の顔を覗く。


 いけないいけない。

 今は仕事中だった。


 ルナちゃんが通っている……そして僕が通っていたアイビス魔法学校は、帝国国内唯一の魔法学校である。


 帝国中から魔法の才ある者が集うこの学校はまさに帝国の宝。

 当然、魔法学校には国から多額の税金が投入されているし、その教師の質も最上だ。


 そんなエリートである先生達の教えで成績が伸ばせないなら、木っ端な家庭教師に頼っても無駄。

 ルナちゃんと先生も心のどこかでそう思っているのだろう。


 だけどね、僕はそんじょそこらの家庭教師とは訳が違うのだ。


「いや、問題無いよ。むしろそんな簡単な事で良いのかなって思ったくらいだ」

「これが……簡単?」

「あぁ、簡単だ。……そうだ! なんなら目標を修正しようか」


 僕は座っていたソファーから立ち上がり、そして言った。



「目指せSクラス! 再来週のテストでぶっちぎりの成績を出して、Sクラスに昇格しよう!!」

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