メール

1週間経った頃、一通のメールが届いた。

私はメールをほとんど使わない。

となると、宛名は・・・。


「CSG 応募受付係」


抽選結果がきた。


「柴田琴音 様

この度は、CSG 音楽部門ピアノ科に応募頂きまして、ありがとうございます。

本メールは、当選の結果通知をお知らせするものです。

今回、琴音様の経歴や事情等も踏まえまして、抽選方式をとらせて頂き、見事当選となりました。

お手数ですが、改めて参加を確認させていただくために、こちらのメールアドレスに名前と景品希望を記入して、返信してください。

サバイバルの日程等の詳細は、参加メンバーが確定次第、メールをさせて頂きます。

最後になりますが、今後ともZ Officeをよろしくお願いいたします。


Z Office 社長 Rura」


当選。

すぐに返事を送った。

私のこれからの運命は、この2週間で決まる。

絶対勝ち抜く。

私は決して負けず嫌いではない。

初めて、闘志心が燃えた瞬間だった。


1週間後、また1通のメールが届いた。


「柴田琴音 様

大変長らくお待たせ致しました。

参加メンバーが決定致しましたので、詳細をお知らせ致します。

今回のサバイバルは、丁度2週間後の●月◆日に行います。正午までに今回のサバイバル会場である、◯◇県民ホールまでお越し下さい。宿泊は、ホールの隣接にあるホテルです。当日、希望者は車の送迎を行っております。再度申し上げますが、今回のサバイバルでは、参加費は無料となっております。宿泊費、交通費も同様です。宿泊に必要な荷物は全てこちらで用意させて頂きますが、必要なものがございましたら、こちらに申しつけて頂くか、各自持参していただきますよう、よろしくお願いいたします。車の送迎を希望する方、他に質問等ある方は、メールでお知らせ下さい。それでは、1週間後の●月◆日お待ちしております。


Z Office 社長 Rura」


私はふわふわした気持ちだった。

今までは、まだファンタジーの世界のような気がしていた。でも、このメールが届いて、一気に現実味を帯びてきた気がする。

それに、全て無料。

本当に良いのだろうか。

そう思うけれども、私に全額払えないし、菓子折なんかも買う余裕なんてない。仕方ない。お言葉に甘えさせて貰おう。

車の送迎も、有り難かった。

私の家は、駅が遠くて◯◇ホテルに行くにも、時間がかかるから。


「柴田琴音です。

車の送迎をお願いしたいです。

当日、よろしくお願いいたします。」


メールを送ると、すぐに返事が来た。


「柴田琴音 様

承知いたしました。当日の午前11時頃、琴音様のお宅の前でお待ちいたしております。」


私は、車の送迎なんてして貰ったことがなかった。

なんだか、もうお金を沢山手に入れたお嬢様みたいな感覚だった。




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