新宿が嫌いな理由

真田 了

始まり

就職して社会人になって5~6年というのは、色々と忙しくなってくる時期だ。

1~2年目は何も出来ない新人。先輩達は様々な事を知っていて、皆優秀に見える。

3~4年目は一通りの事を覚え、先輩達の指導の下で仕事が出来るようになる。

5年目を過ぎると、独り立ち。中堅と呼ばれ、仕事の戦力として当てにされるようになる。


それに、社会人5~6年目というのは、30歳目前。

気の早い友人ならもう結婚している時期だ。

しかし「彼女いない歴=年齢」である僕には結婚相手の当てもなく、どうしようもない…。


と思っていたときに、高校時代の友人から有り難いお誘いがあった。

その友人が勤める会社には女性社員が多く、その飲み会に僕も来ないか、というものだ。

つまりは合コンのようなものだろう。(僕だけでなく、高校時代の他の独身の友人も誘われていた)


とても有り難い話なので喜んで行くことにしたのだが、ただ、ちょっと疑問に思うことがあった。

誘ってくれた友人は、高校時代、それほど親しかったわけでもなかったからだ。

彼とは同じ部活に入っていたものの、僕はほぼ幽霊部員のような存在で、時折り部室に顔を出すくらい。彼とはあまり話をした記憶も無い。


でも、彼が良い奴なのは間違いない。それは覚えている。

それに、僕も逆の立場で同じようなことをしたことがあるし、それと似た心境だったのかもしれない。

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