〈陽菜乃視点〉







電気を消してベッドの上に座っていると

階段を登る音がシンとしたアパートに響いて聞こえ

それがウサギだという事も気づいた…





予想は当たり部屋の呼び鈴が鳴ったけれど

ベッドの上で膝を抱えたまま

帰るのを待っているとスマホが震え

ウサギのページを開かないで全体画面で見ると

起きたら鍵を開けてときていた



 



「・・・・・・」






一年前も私が起きるまでドアの前にいた

ウサギの事を思いだしベッドからそっと降りて

玄関へと近づいて行き…





開けようか悩んだけど

ウサギの笑顔を思いだすと

鍵をあけて扉を押していた…






ハルト「あっ…ごめんね寝てた?」





「・・・ツッ・・・」






ウサギの顔を見るとダメだと思った…

会いたくないと思っていても

本当は会いたくて、会いたくてたまらないから…





本当は後悔している…

今のバイト先を…

オープニングスタッフを勧めた事を…





泣いてる私にウサギは驚いた顔をして

昔の様に頬に流れる涙を指で拭き取ってくれるけど…

あの時の様に素直に甘える事は出来なくなっている






ハルト「ヒナ?」





「・・ツッ…ごめんね…仕事で…怒られちゃって…」





そう言ってウサギの胸に顔を預けて泣き

ウサギは「またドロの後輩?」と

問いかけながら頭を優しく撫でてきた…






「うん…あの後輩…」





そう言ってウサギの胸で泣き続けた…





( ・・・・嘘ばかりは…今は…私の方だ… )







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