〈陽菜乃視点〉







「・・・・今日は…ないのね…」






寝ているウサギの頭を撫でながら

首の後ろを見てそう呟き

ウサギの額に軽くキスをしてから

仕事に行く準備をした





胸元のボタンを止めながら

またウサギのつけている痕を見て

二重の意味でタメ息を吐いた…





少し前までは「またつけて!」と

怒りながらもどこか嬉しい気持ちがあったけれど

今は自分の胸元にあるこの痕が少し邪魔に感じる…






( 好きな服は着れないし… )






ウサギのバイト先の子達はウサギと同年代で…

痕をつけたがるなんて

ヤッパリ若いなと思いつつも…

その若い、10歳近く年下の子がつける痕に

悩まされている自分にも疲れていた…





着替え終わり鏡を見ながら

そんな事を考えていると脱衣室の扉が開き

寝起き顔のウサギが「おはよう」と

ギュッと抱きついてきた






「おはよう、今日も畑に行くの?笑」





ハルト「うん、帰ってから行くよ…あっ!笑」





 


急に抱きしめている体を離して

ニコニコとした顔で「あのねぇ…」と

もったいぶるウサギに「なに?」と問いかけると…







ハルト「来年の春?春前??ヒナにプレゼントあるよ?笑」





「来年の春?」






ハルト「そっ!多分ヒナはね

   子供みたいに喜ぶと思うよ?笑」






朝から可愛く甘える

ウサギの顔を見ながら今日の夜の事を考えた…






( 痕もないし…今日はバイト後じゃないしね… )







「私が喜ぶモノ?笑」






ハルト「喜び過ぎて俺にキスするんじゃない?笑」






「そこまで言うなら今日の夜

 ベッドの中でゆっくり教えてもらおうかな?笑」






そう言って少し背伸びをしてウサギの唇にキスをし

「仕事行ってくるね」と笑って出て行った






その日の夜

ウサギからイチゴの話を聞いた私は

ウサギの言う通り子供みたいに喜んでいた





でも…来年の春に

私がそのイチゴを

ウサギと一緒に食べる事はなかった…








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