12月31日

〈ハルト視点〉










喉の渇きを感じながら目を覚ますと

じーちゃん家でもヒナの部屋でもない

天井とカーテンを見て意識がハッキリせずにいると

左隣りから聞こえる寝息にビックリしてパッと体を起こした






ハルト「・・・・仁!?」







隣りで唇を少し開いて寝ている友人の寝息から香る

酒臭さに鼻に手を当てて窓を開けると

体が縮こまるような冷たい空気が流れ込んできて

段々と記憶が戻ってくる…







ハルト「・・・・えっ… 電話… 」







カラオケ屋でピッチャーに入ったビールを回し飲みして

酔っ払った自分を仁が文句を言いながら

連れ帰った記憶と共に「ヒナ!」と電話で話す

自分の姿が横切りポケットに手を当ててスマホを探すがない…





枕をどけて仁の体も足で転がしながら

スマホを探していると「なに?」と不機嫌気味に

目を覚ました仁が

ほとんど開いてない目をコッチに向けてきた






ハルト「仁!!スマホ!俺のスマホ知らない?」







ジン「・・・・スマホ?・・・あぁ…」







仁はテーブルの上を指さすとまた頭を枕に

ポスっと落として寝ようとしている







ハルト「あっ、あった……2時!?」







スマホを手に取って通話履歴を見ると

深夜2時過ぎにヒナに電話をして5分ほど話している







ジン「・・・・俺はちゃんと止めたよ…」






ハルト「お前の前でかけてんの!?」






毛布を剥ぎとって「おい!」と背中を揺すって

仁に問いかけると仁は面倒くさそうに

顔をコッチに向けてきた







ジン「俺の彼女だよとか言ってかけだしたんだよ!」







ハルト「でっ!?何話してた??ヒナ怒ってた??」







ジン「・・・・さぁ?笑」








仁は俺の顔をじっと見た後に笑いながら

また毛布を顔の上までかぶり

「ウサギちゃん」と言って面白がっている







ハルト「何で知ってるんだよ!!」






ジン「メモ紙は…恥ずかしかったな?笑」







毛布は震えていて仁が肩を震わせながら

笑っているんだと分かりバシバシと叩いて

「どーやって聞いたんだよ!」と

自分の恥ずかしい初体験を知っている仁に

体重をかけながら上から押しつぶした







ジン「言うから!言うから、退けって!」







上から体を退かすと仁はまだ笑っていて

「喉渇いたから先に飲み物とってくる」と

部屋から出て行った…







仁は部屋に戻ってくると

手には2本のペットボトルを握っていて

俺に1本差し出すとベッドの上で胡座をかいて座った







ジン「昨日の電話は全部覚えてんの?」






ハルト「ほとんど覚えてないよ…」







そう言って渡されたペットボトルの蓋をあけて

水をゴクゴクと渇いた喉に流し込んだ








ジン「お前お姉さんに…

  ハダカのお姉さんと寝たいって言ってたよ?笑」







仁の言葉に驚いて飲んでいた水を口から吹き出すと

仁が「おい!」と怒りながら

濡れた布団にタオルを当てている







ハルト「嘘だよ!絶対言わないよ!!」






ジン「いや言ってたんだよ!

  こんなダラシない顔して!笑」







仁は俺の顔真似をしているんだろうが…

あほヅラだった…






ハルト「・・・・ヒナは…なんて…?」






仁が嘘をつく理由もないし本当なんだろうと思い

俺はペットボトルのラベルを剥ぎながら

仁をチラッと見てきいた…






ジン「エロウサギって言ってたかな?笑」






間違いなく言ったんだと分かり

仁のベッドに体を倒して頭をかかえた…






ジン「お姉さんは笑ってたから安心していいと思うよ?笑

    帰ってきたらねって言ってたし」






ハルト「ホントに!?」







「帰ってきたらね」

なんてそんな甘い言葉を滅多に言わないヒナが

怒るどころか笑っていたと聞いて

何で覚えてないんだよと落ち込んだ




仁はずっと笑ったまま俺を見ていて

さっきのメモ紙の話を思い出して聞いた







ハルト「メモ紙の話もヒナが??」







ジン「お前が寝たあと電話は直ぐに終わったし

  お姉さんは俺がいた事もしらないよ…

  メモ紙は……寝てるお前に質問したら答えたよ」






ハルト「寝ぼけてる俺に尋問したのかよ!!」







ジン「尋問って!ただ聞いただけだよ?笑」







ハルト「・・・・どこまで話した?」







ジン「ふふ…どこだっけなぁ?笑」







ハルト「仁ッ!!」








ふざける仁の名前を強めに呼ぶと

仁は「はいはい」と言って話し出した…







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