小さな肩にかけられた期待

「まあでも、仕方ないじゃん」


 ハンターギルドでの出来事をエルに話して、返ってきた言葉がそれだった。


「って、あんたが来るまではそう思えたはずななのに。今じゃ全然納得できない。わたし、すごく欲張りになっちゃった」

「それもこれも全部俺のせいか」

「そう。全部が全部あんたのせいだ」

「はいはい全部俺のせい俺のせい」


 エルがキッと睨んできて、いーっ! と歯を見せつける。


「……あんた、大丈夫なわけ?」


 むすっとした顔で、エルはそう俺の顔を見上げた。


「大丈夫ってなにが」

「なんていうか。よかれと思ってやったわけじゃん。なのに、こんなことになっちゃってさ」

「まあ、まだ助けるつもりだからな。だから、少なくとも今は大丈夫だ」

 

 助けられなかったときは、そりゃあへこむだろうけど。少なくともそれまでは落ち込んでる暇もない。


「あっそ」


エルはそう言って、じーっと俺の顔を見てくる。


「なんだよ」

「なんていうか、まあ。わたしも、頑張る。いや、今までが頑張ってなかったわけじゃないけど。ボルドルを救うのに一番てっとり速いのって、わたしが浄化魔法使えるようになることでしょ?」

「それはまあそうだけどさ」


 そう都合よくいくもんでもないだろう。


「だから、頑張る。わたしもテトやリーゼの父親に死んでほしくないから」

「エルってリーゼと仲いいのか?」

「まあ、歳近いしそれなりって感じ?」


 ああ、たしかに。テトを介して接点も意外と多いのかもしれない。


「じゃあ、頼む」


 俺がぽんと肩をたたく。


「うん」


エルはこくりとうなずいた。

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