私は巻き込まれただけなのに、元の世界に戻れないなんて!
NALI
第1話 はじまり
「雷斗〜!」
私はこの
学校が終わって部活に行く途中の出来事だった。 『ハナ、ちょっと来て!』雷斗は私の腕をガシッと掴んで 強引に連れて行く。
私達はただの幼なじみ。昔から兄弟のように育ったから、今さらそんな感情は持てない。
「雷斗!腕が痛いってば。何なの!?」
私は半分怒り出した。
それでも雷斗は無言で、歩いて行く。
えー?私何かしたっけ? 全くもって記憶にございませんが・・・・。
私も抵抗する事を諦めて、雷斗の歩幅に合わせて歩く。
あぁ。部活間に合わないよ。
だって、学校の裏門から出て10分は歩いてるもんね。あー今日の調理部って、チーズケーキを作る日だったなぁ。食べたかった。
ところで、この先に何かあったっけ? 「この先に何かあるの?」
やっと雷斗が私を見てくれた。
その顔は、何だか赤くなって、怒ってるって言うより、恥ずかしくて赤くなってる感じがした。 雷斗は学校でも1番のイケメンで、幼なじみの私でもたまに、見惚れてしまう。 目が合ったまま、少し見つめ合ってしまって、私は恥ずかしくなった。
少し顔を赤くした私に雷斗が
「ハナ!俺に見惚れんな」
って言った雷斗は少し、ゴキゲンでニコっと笑った。
「着いたよ」
雷斗がやっと腕を離してくれた。 着いた場所は、学校の裏にある高台の公園。 いわゆる・・・・・・デートスポットの1つだった。 そこから夕日が沈むのを2人で見たら一生幸せになれると言う。
でも学校の友達も歴代の彼氏も誰も信じてくれなかった。だから、私はひっそりと憧れていた
この高台の公園に彼氏と来る事を。
「ハナは信じてるんだろう?」
「でも雷斗は彼氏じゃない」
私がそう言うと、雷斗は私の手をぎゅうっと握った。 そして私の顔を見て、
「今日この瞬間から、俺がハナの彼氏になりたい」
雷斗の顔は夕焼けにかかっても顔が赤いとわかるほど、真っ赤になっていた。
え? 雷斗は私が好きなの?
「雷斗・・・・・私・・・・」
次の瞬間!!!!!
私と雷斗が立っていた地面に何か文字というか円形の何かが浮かび上がり物凄い光りを放った!!!
「きゃっー!!」
私は怖くて、雷斗に抱きついた。 雷斗もわけがわからずに、私を守るように覆いかぶさる。
そして私達は、光りの中に包まれていった。
・・・・・・・・・
光りの中にいたのはほんの数秒だった。
その間に、頭の中に誰かが話しかけてきた。
『共通言語・体感対応・ウイルス拒否・ギフト』
ギフト?
何かくれるの? チーズケーキ食べたかった。美味しく作れたらなぁ
『生活魔法INFINITY《インフィニティ》』
え?インフィニティ?
無限ってどういう事?
眩しかった光りの中から少しずつ視界が戻って来た。そこには大勢の中世の貴族のような人達の真ん中に、私と雷斗は、立っていた。
「勇者様!」
「ありがとうございます!勇者様!」
うわぁー!! っと大歓声が私達に向かって聞こえた。
教会の神父様みたいな人が みんなに向かって
「召喚は成功した!勇者と共にこの国を護ろうぞ!」
大歓声と共に拍手喝采が建物内に響き渡る
神父様みたいな人は、雷斗のおでこに手をかざした。
雷斗の体から光りが放つ。
「勇者殿名前は?」
雷斗はわけがわからず、聞かれたまま
「雷斗・・・」
「ライト様ですか!素敵なお名前です!」
会場内は盛り上がる。
え?私は?私の事みんな見えてますか?
「あの~」
私は恐る恐る話しかけた。
神父様らしき人は、やっと雷斗の腕の中にいる私に、反応した。
「たまたま近くにいたのでしょう」
で?
「雷斗にだけ用事があったと?」
「そうです!」
「はっきり言いますね、そもそもここどこよ!」
私は少しパニックになっている。
「勇者様の世界とは違う世界と言えばいいですかな?」
何それ?
「じゃあ何で、雷斗なの?」
「勇者様が我が世界の救世主だからです!」
「自分達の世界を助けてもらいたくて雷斗の許可もなく呼んだわけ?」
「勇者様はそんな事で怒るような方ではありませんので!」
雷斗を見ると、確かに怒ってはいない・・・・・が、困ってるよ?
「そう、いいわ。私は関係ないのなら、私を元の世界に帰してくれない?」
「困りましたなぁ。勝手について来られて、帰せとは」
何か言い方ムカつくんですけど?
「結論から言うと、今は無理ですな」
「え?」
「勇者様が今存在する魔王を倒した時に、元の世界に帰る道が開きますので」
え? 私は雷斗を見た。
雷斗も動揺しているのがわかった。 声も出ないぐらいに。
雷斗は、そのままどこかに連れて行かれた!みんなにチヤホヤされながら。
私を残して。
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