気まぐれ 言の葉 -音楽編-

平 遊

あなたへ捧ぐ 幻想即興曲

響き渡る スフォルツアンドのG#

続く三連符から始まる旋律に

目の前の景色が 姿を変える


心惹かれる 艶やかな調べが

鮮やかに色づき あたりを満たす

静かに 気づかぬうちに

いつの間にか 想っていた

あなたを


はじめのうちは 夢のような

甘やかな空気の余韻に浸り

想うほどに 求めるほどに

切なさは 痛みを伴って

息をすることもできないほどに

胸が強く 締め付けられて


次第にわたしを支配する

身体中を吹き荒れる

激情とも言える この想い

今はただ

ピアノの鍵盤に 全てを注ぐ


伝わるだろうか

あなたに

言葉にすることのできない

わたしの想いが


どうか届けて

Fantaisie-Impromptu

最後の一小節に 祈りを込めて

柔らかに 密やかに




***************


ご存じの方も多いと思いますが。

ショパンの「幻想即興曲」です。

ショパンの曲の中でも、大好きな曲の1つです。

どうにかお話にしたいと思っていましたが、思考錯誤の結果、『詩』という形に辿り着きました。

ピアノ曲を詩の形で表現するのは、私にとって初めての試みです。

ですが、お話の形よりも、私の表現方法としては、詩の方が合っているようです。

曲の正しい(とされる)解釈は、昔聞かされたような気もしますが、忘れました。

これは、私の個人的な解釈/感情です。

私だけの、Fantaisie-Impromptu です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る