カオスの楽園
つきみなも
第1話 サメ男
私の名前はシャーク・シャーシ。ごく一般的な上級国民だ。
私は数年前、サメに頭を食われた。当時金がなかった私はヤブ医者に頼んで、サメをどうにかとってもらうことにした。
その、ヤブ医者に手術を頼んだのがまずかった。
ヤブ医者は私の頼みを間違えたのか、サメの腹に私の顔が出るようにして、サメと一体化させてしまったのだ。お陰で最初は肩凝りがすごかった。
しかし慣れてくると何てことなくなった。
そこから数年、私はさまざまな問題に悩まされてきた。
最初、肩凝りが治ったのは良かったのだが、3日ほどたつとサメが人を食い始めたのだ。サメは宿主は食わないといったものの、おそらく10人ぐらいは殺してしまっている。
そしてサメとどうにか話し合って、毎日肉をあげることで人を食べないという約束で解決したが、次の問題が迫ってきていた。サメは人を一週間に二回程度で喰らっていたのだが、約束を取り決めてから毎日食べることになり、どんどん太ったのだ。そのお陰で、腰痛がひどくなって、歩けなくなった時期があった。湿布を毎日張るはめになり、私の背中は湿布の臭いが染み付いてしまった。そこで私は事務に行き、指先を毎日動かして運動することでサメを痩せさせた。やっと腰痛が無くなったとき、会社から転勤命令が下された。幸い、海の近い景色のいい家を貸してもらったので疲れるばかりではなかった。
そこの家で初めてサメとまともな会話をした。
「おい、 シャーシ。」
「なんだ。急に喋り出して。」
「俺、ここ2年は海に入っていないんだ。一度でいいから海にいれとくれ。」
「・・・分かった。だが今日は遅い。明日だ。明日は平日で時間もある。」
「分かったよシャーシ。ありがとう」
次の日、私は沖に出た。サメが浅瀬より沖の方がいいと言ったからだ。
海にシュノーケルをくわえて入ると、サメが急に暴れだした。
「やったぁ。海だァ!」
お陰で私は姿勢の制御ができずに、サメが泳ぐままに泳いでしまった。
しばらく泳いでいると、全く小魚が見当たらなくなった。サメは上機嫌で泳ぎ続けている。
次の瞬間、前から素早く黒い影が迫ってきた。シャチだった。
シャチはサメを丸飲みし、またしても私と一体化してしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます