正直に申し上げますと、私自身百合にはあまり詳しくなく、そんな自分が読ませていただいていいのかなと思っていたのですが、物語の冒頭、最初の一文で心を掴まれ、読み進めていくと、そうした遠慮や心配などは全て吹き飛ばしてくれるくらい、面白く、魅力が詰まった作品でした。
深く練られた世界観――「地底」――、行く先を見守りたくなるような魅力ある登場人物たちと、キャラクターの関係性、それらが洗練された文章で綴られていて、読後はとっても贅沢な気持ちになれます。
また、トップページに掲載されている登場人物のイラストがとっても素敵なんです!
満足感あふれる読書体験をみなさまもぜひ!
続きも楽しみに拝読させていただきます。
有識者の皆々様なら重々承知の上とは存じておりますが、一口に百合と申しましても一様に語れない様々な種類の関係性がございます。永遠を誓った恋仲、切るに切れない腐れ縁、袖振り合った多生の縁、推しも推されぬ仲であったり、一見ただの同居人、気の置けない主従、逆にあえて接点のない知り合いの知り合い同士、エトセトラエトセトラ。
こちらのご作品にはそういった濃密な百合熱量(造語)が込められております。作中でも言及がありますが、営業でもなんでもない’’ガチ’’ってこういうことなんですよね。必須栄養素です分かります。
そしてダークファンタジーとしての設定や世界観、展開が優れていることも言うまでもありません。ラブもコメディも両面面白いラブコメです。
同志の方もそうでない方も、美しいものや仄かな背徳感、身を焦がすスリル、秀逸な短編映画を観たような心地良い余韻を何度も味わいたい方はぜひどうぞ。此方の水は甘々ですよっ!