第16話 揃い踏み強敵達!登場、神沢妃美香(2)
「なあ、前回の大会では俺に美樹雄・・・それに何とかのチームの城田、どっかの学生の星川だっけ?出た人数が多い割にはめぼしいのがそういなかったようだけど今回もこんな感じか?」
瞬はアメを口の中で転がしながら言った。
「さあ・・・・・・スラロームに関しては何とも言えないよ。毎回出る選手がそうそう決まってるわけじゃないし、その時の調子もあるし、クロスカントリーだって有力な選手は山ほどいるし」
「だといいんだが」
瞬は期待した答えがないことに少しがっりかりした様子であった。
「そのスラロームってなに?」
恵が質問した。
「クロスカントリーが長距離区間のコースで多数で競うものなら、スラロームは平行した短距離の同じコースを2人で走りタイムを競うものだよ」
美樹雄が恵の方に顔を向けて説明すると、恵は顔を近づけて聞いた。その距離に美樹雄は顔を赤くしていた。
「一対一で戦うのか。なんだかそれ、すごく面白そう。それで、前回の大会では美樹雄と瞬が決勝で争って美樹雄が勝ったと」
恵は美樹雄を尊敬を込めた目で見ると、美樹雄はたまらずフロントに視線を移した。
「たまたま・・・・・・・です」
「そう、たまたまだよ。たまたま、2本とも美樹雄に勝てなかっただけだよ。今回はそうはいくか」
瞬が後ろからチャチャを入れた。
「ねえ、大会にでる女の子も多いんでしょ?」
「そうそう」
美樹雄が答える前に瞬が言葉をはさんだ。
「あのへんちくタカビー女は今回も出るのか?」
「なに・・・・・・それ?」
「なにそれったって、そりゃあマンガから飛び出てきたような奴だったぜ。本当に『オッホッホッホッホッホ』て笑い出すんだぞ。俺なんか会った瞬間目が点になったぜ」
そう言いながら瞬は口に手をあてながら笑って見せた。
(瞬の目が点になるような人物なんているのだろうか?)
恵は信じられないという顔を美樹雄に向けた。
「それはたぶん
「あっ・・・」
恵の横で奈美が驚いた。
「奈美ちゃんは知ってるの?」
「あっ、うん。噂は聞いたことがあるよ」
「噂・・・?」
「うん。神沢さんはいろいろ大会にはよく出ていたみたいで、この大会では初出場のときで二位になったの。だけどそのあとの大会からは神沢さんの前を走る人はいなくなったって」
「いなくなった?」
「つまり神沢より速い奴がいないってことさ」
浩一は車を止めるとドアを開けた。
「ほらほらつきましたよ」
恵は浩一に促されて車から降りると辺り一面の景色に目を奪われた。
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