白に包まれ黒を撫で

 あぁ、どうするべきか。


 何やら私は焦っていた。喉から手が出るほどに求める何かを、目の前にして躊躇ちゅうちょしていた。

 近づいてみたり、背を向けたり。抱きしめてみたり、離れたり。檻の中のゴリラみたいに落ち着かない。

 持って逃げてしまえばいいのに。


 辺りは、白い霧に包まれていて。進む先には光があって。

 私は暗い何かを置いてけなかった。


 何かはスイカみたいに丸くて大きく。何だかずっしり重かった。

 そっと胸に抱えると、ホッと心が落ち着いて。きっと私の大事な何かで、ずっと探したものだった。


 霧の先から何かが聴こえる。明るい光が何か言ってる。

 私は早く行かなきゃダメで。ここには長くいられなくて。

 寂しい気持ちと不安な心。

 私はギュッと身体をすくめて、抱えた頭蓋ずがいを静かに撫でた。骨を触る 指の肉が柔らかかった。

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