うつらうつら夢欠片
私は背が高くて。
長い髪を踊らせて、空気を切って、歩いていく。
そこはきっと海辺だったり、街中だったり、トンネルの中だったりする。
決して、そこは河岸ではなく、林ではなく、畑ではない。
私はそっちが好きなのに。
私は電車に乗っていて、うつらうつらと舟を漕ぐ。明るい車内に私はひとり。
隣に座る人は誰?暖かな昼の鈍行列車。
木漏れ日の射す降車駅には、微笑む僧侶が待っていて、私は目尻の皺をじんわり見つめた。
頭の隅でじっくりと。数えることなく、ねっとりと。柔和で優しい皺だった。
硝子の向こうは木々が鮮やか。私はまだまだ電車を降りない。
瞳を開けて、布団を見てから、もう一度そっと目蓋を閉じた。私はまだまだ温かい。
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