<6> 【五分五分】の正体
不名誉な噂話を流すのは悪役令嬢の仕事のはずが。
毀誉褒貶激しい私、フォンテーヌ公爵令嬢オリアンヌに関する人言はいよいよ無秩序へと変貌を遂げる。
「
数ヶ月ぶりに本邸へ戻った
学園の庭園で倒れた私と
誰ぞの襲撃かと聞かれて王太子配下の仕業と答えられない少年に対し、偶然通りかかり血を見て倒れたと隠し立てず答えた私であるが、悪意により混交される。
即ち、逢い引き、痴話喧嘩の類だと。
「寄り添って倒れていたとまで……
言葉を句切り、唇の端を持ち上げて扉を指す。
退室せよ、ではなく、行動せよ。
*
公式には謹慎処分、外出など以ての外。
だが、登城に弁解の余地が生まれた今が好機。
「やはり、容易に遭遇しないか……」
この隠しイベントは、お遊び要素としても行き過ぎの、遭遇確率数パーミル、
が、現実ならば。
衛兵に摘まみ出されなければ何度も同じ場所を行き来することは可能で、勲章持ち青年貴族相手に衛兵はおいそれと近づけまい。
とはいえ、無闇に彷徨くも考えもの、思案しつつ二度目——
いた。
王城の隠し通路口を守る騎士だ。
周囲と同じ壁の前、帯剣した直立不動の騎士は不自然極まりなく。
近づけば問答無用の
対戦相手は中央に表示される。
【オリアンヌ・フォンテーヌ V.S. 王太子付き近衛】。
くすっ。
自然と溢れた笑みは男装の麗人を華やかに彩り、敗北即死の緊張を興奮へと導く。
王城の壁を背景に、透明タイルで半分埋まったこちら、一方の相手画面に邪魔は無く。
高難易度の
「
同時に消したタイルの数と連鎖数で、相手に落ちる透明タイル数は決まる。
元からある透明タイルはお邪魔どころか、連鎖と巻き込み消しで大量のタイルを相手側に落とし、一気に対戦終了に持ち込める。
「さぁ、案内してもらおう」
敗北即死の
誰とも鉢合わせないよう、秘密通路の奥へと案内する。
小部屋に集められた、主の秘密へと。
それにしても——
ようやく【五分五分】が掴めた。
ゲーム内の確率を
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