堕天使とダークエルフ、堕ちてる2人が最強愛方になるのはダメですか!?

ケンちん

第1話 堕天使

様々な種族、様々な生き物がこの世には生息している。

人間に獣人や竜人

ドワーフにエルフや悪魔族と天使族

数え切れない、世界には俺の知らない種族も生き物もいるだろう。

そしてその中には勿論、ハーフやクォーターの種族も無数に存在する。


俺は天使族と悪魔族の間に産まれた。

天使と悪魔の両方の特徴を授かり産まれた。

体の左半身には、背中に白い翼、光沢のある銀髪、瞳は赤色だ。どうやら精神にも一族特有の影響がある。慈愛の精神という感情も受け継いだ


右半身には悪魔特有の特徴、コウモリのような翼膜のある翼に尖った八重歯、口の横に黒い二つの痣のような斑点があり、髪も銀髪に黒髪が混ざっていた。頭には角もある。こちらの瞳は紫色だ

悪魔の血族特有の、魔力や身体能力も高さも遺伝していた。




15の歳の頃、俺はある任務に出向いてかなり古い遺跡の深部にいた。

かなり危険な任務だ。

暗黒竜、別名がファフニール。翼膜が黒と紫の禍々しい容姿のドラゴンだ。

人をも喰らうために。時々人里を襲来するケースも出てきてるという。

絶対に、これ以上被害を伸ばすわけにはいかない

俺は身体能力に恵まれていること、隊の実力が高いという点から特攻隊の隊長として、仲間を率いて先陣を切っていた。


「そろそろだ…みんな、引き締まっていこう…」

「ソルテ、ファフニールはこの部屋の中だと思うか…?」

隊の中で副隊長として、特に親しいザックが声をかけてくる。ザックは大剣を持つ人間の剣士だ。

副隊長ではあるものの、本来は隊長はザックだったが、ザックは何故か俺を隊長に推薦したことで、隊長は俺となった。


「なんとなくではあるけど、扉の大きさ、この辺の部屋の大きさ、いつ出てきてもおかしくないと場所までは来てると思う」


遺跡の中は静寂そのもので心臓の鼓動すら聴こえてくる空間。

張り詰めた緊張感で胃や心臓が苦しくなりそうだった。


「開けるぞ」

扉を開ける。


そこは真っ暗だ。照明用の魔法を唱えないとどうにもならない

静かな音を立てつつ扉が閉まる…


「ヒテルナ!」

ザックが照明魔法を使って照らしてくれる。

部屋の中を全てを照らしきれないほど広い…

中は先程と余り変わらない空間の部屋だった。

天井も高く部屋の内部も相当広いドームのような空間だ。


「ここにもいない…?のか?」

気配も感じない広間


この場の空気が裂かれたのかと思うほどの、轟音を立てながら正面の床へ何かが墜落してきた


「…来たぞ!」

土煙の中から紫の翼膜が見える、喉や肺を圧迫されるような凄まじい圧力、背中が冷たい

だが、冷静で落ち着いている


「ソルテ、俺は陽動で誘うように立ち回るから、隙を見つけて渾身の一撃を一気に頼む!」

「わかった!」


ザックが俺へと的確に指示をしながら、一気に動いた

「ギィィィオオオ」

断末魔のような咆哮をあげて鼓膜が強く揺られる

ザックは愛用してる大剣を目にも止まらない速さで斬りつけ正面戦闘を始める。

(すごい…1人で完全に陽動をこなせてる…)


「死角を取りながら、散開して!様子を伺え!」

「わかった!」

ザックに合わせて指示を飛ばしつつ仲間に指示を出す


仲間の皆は男2人、女2人この任務のために組んだ小隊。

女性陣はエルフ族やメイジたちの全員後衛で魔法の支援だ

男性陣たちは近接戦闘主軸の槍や斧を持ってる。オーガやドワーフとガタイは俺やザックの比にならない。


ザックが対応してくれてる。俺も足を引っ張らないようにしなければ…


俺を含めたオーガのジークと、ドワーフのウェルドで斬り込む。手応えはかなり良い。肉を裂き骨も断ててる。


エルフのメリルとメイジのルルナ。2人は姉妹で連携の取れた魔法のサポートを後ろから飛ばしてくれている。

この任務は問題ない。メンバーみんながとても強く頼りになる。


「グォォォ…」

モンスターの咆哮にも力強さが無くなってきた気がする。

流石の大型ドラゴンも消耗しているんだ。


間もなく、ザックが上手く攻撃を捌いたことで、体勢を崩しファフニールに隙ができた。


(ここだな…)

羽を飛翔し、俺は背後から頭部へ全開の一撃を打ち込みに迫る。

ゴッ…と鈍い感触と衝撃が身体を走った。何が起きたのかわからない。


「…ツ、尻尾で今の攻撃に対応してきた…?!」


おかしい。全く見えてなかったはず。

体勢すら崩していた。読んでいたというのか?

誘われていたのか?


「ソルテ、大丈夫か?!」

起き上がりながら状況整理をしていると、ザックが体勢を立て直すために駆けつけてくれた。

「こいつ、やっぱ他のドラゴンたちとは明らかに違うよね」

「確かに、今のはまるで人が考えた作戦みたいだった、攻撃もやたら重い」



今の動きは…明らかに知性がある者のそれだ

ファフニールのようなドラゴンの魔物には、

賢くはあっても知性のあるドラゴンは、竜人族くらいのはず。そもそも力も明らかに強かった…

なんだろうこいつは普通じゃない。


「キュオオオォォ」

ファフニールは甲高い咆哮を響かせる

何かが違う!!!


「気をつけろ、なにか来る!」

ファフニールは口からブレスを腹から抉るよう吐き出してくる

毒霧のブレスだ


(このブレスの威力、まずい…!)

ザックが俺を全力突き飛ばし、遺跡の通気用の風穴から外へ押し出した


「ザック!?」


「一旦退くぞ!ソルテは先に増援を呼びに行ってくれ!」

俺だけ逃げる?そんなこと出来るはずがないだろ?!


「お前たちはどうするつもりなんだ!」

「適当に隙見て一旦退く、ソルテは先にいけ!」

「大丈夫だから!行ってソルテ!」

ジーク、ルルナが大丈夫だと言わんばかりに強く言葉を返す


みんながファフニールの動きを引きつける。

先に増援を呼びに行く他選択は無い。

(ザック、ジーク、ウェルド、メリル、ルルナ…すぐに援軍を呼ぶから待ってろ!)


仲間のおかげで逃げ切ることが出来た。みんなが頼りになる強い唯一の仲間だからこそ。

。俺を雇うギルドまで戻るためにひたすら走った…

受けたダメージと、吸ってしまった毒で俺は、ギルドにも辿り着くことなく倒れた。


彼らは、誰一人それから帰って来ることはなかった。

守られた、みんなに。

俺なんかのためにみんなを犠牲にさせた。


守れなかった。俺が役に立てなかったから…

もう誰も傷ついてほしくない

もう誰も死なないでほしい

俺は何のために生きているんだ

俺は誰のために生きているんだ

誰か…俺は何なんだ…教えてくれ…


意識が完全に途切れる前に

俺の頭に残った感情はそれだけだった。






























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