第一章 絶対正義

第1話 プロローグ

男がいる。

黄金の髪をオールバックにした望月の瞳の大男だ。

山のように険しい体躯を、銀糸と金糸に装飾された荘厳な法衣が包んでいる。


彼は塔の上にいた。

とある街の中心部にある時計塔。

人類の作り上げたもっとも月に近い場所。


その頂点に立つ男は月光を見上げ―――呟く。


「また、か」


それは単なる独り言。

されど男にとってそれは神託であり、宣告である。


「またひとつ、……この世にが増える」


男はどんな悪も見逃さない。


「許されぬことだ」


男はどんな悪も許さない。


「滅せねばならぬ」


男は故にこう名乗る。


「『絶対正義』の名において―――あらゆる悪は、認めない」

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