第4章 決戦!皇竜姫ドラグレリア!
第63話 2学期中間テスト
「やりましたね勇者様、全教科満点だなんて!」
大盛り上がりの文化祭が終わってすぐに行われた、2学期の中間テスト。
皆で力を合わせて作り上げた非日常の余韻もへったくれもない、あまりの空気の読めなさに、現実に引き戻された生徒たちが恨み節をつぶやく中。
俺は当校開校以来初となる全教科満点のグランドスラムで、ぶっちぎりの学年1位を取ってしまっていた。
最後の教科が帰ってきた日の帰り道に、リエナはそのことをすごく喜んでくれたんだけど。
「ああうん、サンキューなリエナ。でもあんまり言わないでくれると嬉しいかな」
俺はどうにも素直には喜べなくて苦笑いを返す。
「どうしてでしょうか? 早く帰ってお
「ああうん……伝えるのはいいけど、ほどほどにな?」
「大絶賛して伝える所存だったんですけど、ダメですか?」
「だってこれ、どう考えても女神アテナイのチートのおかげなわけだろ?」
「そうですね。勇者様が持つ、全ての言語を即時理解する最上位スキル『神意広達』は、単なる翻訳だけでなく、言葉や数式への理解力も格段に向上するそうですから」
簡潔な説明をありがとなリエナ。
おかげで改めて俺のチートっぷりがよく分かるよ。
「体感5年前だからかなりうろ覚えなんだけどさ。たしか俺って1学期の期末テストの成績は、中の上に届きそうで届かないくらいの平均ちょい上くらいだったんだよ」
そんな平凡な俺だっていうのに、みんなが一生懸命に試験勉強をする中、ほとんど何もせずに全教科満点をとってしまうのは正直ちょっと心苦しい。
『オーフェルマウス』から帰還してからは「授業が楽でラッキー。宿題もすぐ終わるし」くらいにしか思っていなかったけど。
こうやってテストで全教科満点を取ってみて、俺は改めてこのスキルの異常さに気付かされていた。
この前、試しに図書室で東大の赤本を開いて適当に過去問を解いてみたら、サクッと解けちゃったからな。
このスキル、ガチでヤバすぎだ。
でもだからといってわざと間違えるのも、バカにしているみたいでそれはそれでどうかと思ったのだ。
「勇者様は『オーフェルマウス』を救ってくれたんですから、それくらいの『良いこと』があっても許されると思いますけど。なにせ世界を1つ救ったんですよ?」
「まぁそう言われるとそう言う気がしてくるかも?」
『世界を救った』と文字で書いたらたった6文字だけど、実際はものすごく大変だったからな。
なにせ5年もかかったし。
だったらテストで全教科満点を取るくらいは許されるかな……?
ちなみに俺に続く学年2位はリエナだった。
俺が貰った『神意広達』には大きく劣るものの、リエナも言語理解系の加護を受けている。
しかしそれだけでなく、リエナは元々とても頭がいいのだ。
『オーフェルマウス』で100年に1人の天才と言われ、すでに失われていた異世界召喚術を蘇らせたのは伊達ではない。
とにかく知識を学ぶことが好きで、授業もいつもとても楽しそうに受けているし、勉強することをまったく苦にしない。
さすがに古典と歴史ではやや点数を落としていたものの、得意の理数系科目では当たり前のように100点かそれに近い点数を取っていた。
「じゃあ中間テストはリエナとワンツー・フィニッシュだったって、帰ったら一緒に母さんに報告しに行くか」
「はい、そうしましょう♪」
もちろんそう遠くないうちに皇竜姫ドラグレリアとの戦いが待ち受けている。
けど、だからといって俺は新しい学校生活――リスクールを中断したりはしない。
それはそれ、これはこれなのだ。
(リスクールを全力で楽しんだ上で、ドラグレリアにも完全勝利する──!)
俺はリエナとのリスクールを今まで以上に精力的に楽しんでいた。
そんなある日――
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