「隣の席の美少女をナンパから助けたら、なぜかクラス委員を一緒にやることになった件」~リエナIf~ 異世界を救って帰還したら聖女がついてきたので、同棲して甘々ラブコメしながら面倒をみようと思います。
第24話 帰還勇者&リエナ、魔王カナンに圧勝する。(1)
第24話 帰還勇者&リエナ、魔王カナンに圧勝する。(1)
「勇者様、いけます! 今です!」
もちろんそんな絶好のチャンスを見逃す俺ではなかった。
「おうよ! はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ────!」
俺が爆発的に闘志を高めると、それに呼応するように俺の右手に膨大な量の聖なる力が凝縮してゆく!
そして!
「聖光解放! 『セイクリッド・インパクト』!!」
弱り切った魔王カナンに、俺は鋭い右ストレートパンチで必殺の一撃を叩き込んだ!
強大な物理打撃力とともに、女神アテナイの聖なる力を相手に叩き込んで身体の内部から焼き清めることで跡形もなく消し去るという、邪悪を討滅するための勇者の奥義だ!
「ぎぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
太陽のごとき煌々と輝く聖なる光が、魔王カナンの魂を激しく焼き清めていく!
魔王カナンの魂は一瞬にして消滅した。
「よし、今度こそ間違いなく討滅した――」
「……なるほど、そう言うわけだったんですか」
しかし勝利を確信する俺の言葉に被せるようにして、リエナが呟いた。
「どうしたんだリエナ?」
「前回、討滅したはずの魔王カナンが生き延びていたカラクリに気付きました」
「ほんとか?」
「本当です。そして今回もまだ完全には倒しきれてはいません」
「なんだって? だって今確かに倒しただろ? くっ、ならすぐにカラクリってのを説明してくれ。また逃げられるわけにはいかないからな」
「では結論を申します。この位相次元空間と呼ばれる特殊な空間自体こそが、魔王カナンの魂の本体なんです」
「位相次元空間が魔王カナンの本体だって? この空間そのものが……?」
「勇者様、この亜空間に意識をよーく傾けてみて下さい」
俺はリエナに言われた通り、周囲を取り巻く闇の亜空間にしっかりと意識を向けながら見回してみて――そして気が付いた。
「……なるほどな、そういうことか。俺も感じるぞ、巧妙に隠蔽された魔王カナンのどす黒い魔の気配をな」
「はい。つまりはそういうことです」
こくんと頷くリエナ。
「それにしてもさすがリエナだ。こんなカラクリを見抜くなんて相変わらず冴えてるな」
「私は勇者に道を指し示す神託の神官。戦闘以外の各種サポートはどうぞ私にお任せくださいませ」
俺に褒められたリエナがにっこり微笑んだ。
「ってわけで、もう分かってるんだぜ? 今倒したのは見かけだけの本体で、この亜空間こそが魔王カナンの魂の在り処だってことはな!」
魔王カナンの、魔王カナンによる、魔王カナンのための位相次元空間。
しかしそれは全くの逆で。
この特殊な亜空間こそが魔王カナンの本体だったのだ!
だからあの時も今も、確かに討滅したはずなのにもかかわらず魔王カナンは生き延びることができたのだ。
しかしリエナの看破によって、俺は魔王カナン完全討滅のための最後のピースを得ることができた!
「や、やめろ――」
倒したはずの魔王カナンの動揺したような声が聞こえてくる。
そしてその声は答え合わせをするように、この空間全体から聞こえてきた。
もちろんそんな「お願い」を聞き入れたりはしない。
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