第2章 リエナと過ごす日常生活
第14話 学校の授業で無双する。
始業式の翌日から、高校の授業が本格的に始まった。
体感で5年ぶりとなる学校でのお勉強だったんだけど、女神アテナイの加護を受けている俺にとって、高校の授業はベリーイージーだった。
例えば数学の授業では、
(えっとこの場合は……
…………
……
……よって合同となる。証明終わり、っと)
全員で解いてみるように言われた教科書の証明問題を見て、瞬時に解き方を理解した俺は。
特に考える間もなくパパっとノートに証明を書き込んでいった。
これが女神アテナイに与えられた、全ての言語を即時理解する最上位スキル『神意広達』の力だった。
女神アテナイは異世界『オーフェルマウス』の総合神となる前は、元々は愛と知の女神だったらしい。
だからその加護を受けた俺は、英語だろうが数学だろうが、日本語を読み書きするのとまったく同じ感覚で直感的に理解することができるのだ。
単純に言葉の意味を理解できるようになるだけじゃない。
言葉や数式への理解力が格段に向上しているため、数学も教科書をペラペラとめくって軽く眺めただけで、すべて完璧に頭に入ってしまうのだ。
(このチートスキルは学歴社会で生きる学生にとって文字通り最強チートだよな。常時発動してて俺の意思じゃオンオフできないから、ズルしてるって感覚もあんまりないし)
これはもう俺に与えられた天賦の才能として、ありがたく使わせてもらおう。
俺は数学に限らず、英語、国語、古文・漢文、化学、世界史etc...全教科を余裕しゃくしゃくでクリアさせてもらった。
だがしかし。
数学なんて目じゃないくらいに、元勇者の俺がぶっちぎりで無双したのが体育の授業だった。
2学期前半の体育は、主に体育館でのバスケットボールだ。
今日はコートを2面取って、片方は男子、もう片方では女子の試合形式の授業が行われていた。
3チームずつ作って、ローテーションで2チームが対戦、1チームが休憩がてら審判をする。
そしてうちのクラスにはバスケ部で1年生の夏からレギュラーを獲った、爽やかイケメンの伊達くんがいた。
そんなわけで俺のチームメンバーは端から勝つのを諦めていたんだけど、俺だけは違った。
(戦闘用の勇者スキルはいっさい使わず、純粋な身体能力だけで勝負する――!)
というか俺の身体能力を大きく強化する『
自陣からダンクシュートしに行けるとか、さすがにそれはまずい。
俺は伊達くんとマン・ツー・マンでマッチアップすると、この5年で鍛え上げた身体能力をいかんなく発揮して勝負を挑んだ。
「甘い! 右だ!」
実戦で鍛え上げた超絶反射神経でドリブルを簡単に止めると、
「よっと!」
抜群の跳躍力で放たれたシュートをブロックする。
さらには、
「もらった!」
駆け引きを読み切って鋭い出足でパスカットしてターンオーバーすると、一気にドリブルで敵陣に持ち込み、
「おおぉぉ──っ!」
フリースローラインから大跳躍のエアウォークで中空を駆けると、そのまま豪快なダンクシュートを叩き込んだ!
とまぁ一事が万事そんな具合で。
試合は俺の大活躍によって下馬評を覆した俺たちチームの圧勝に終わったのだった。
試合後、伊達くんがぽかーんと口を開けて俺を見つめていた。
そして遠巻きに試合を見ていた女子たちは、自分たちの試合そっちのけでワイワイと盛り上がっていた。
「ねぇねぇ、伊達くんて1年でバスケ部のレギュラーになったんでしょ? その伊達くんにバスケで勝っちゃう織田くんってマジすごくない!?」
「ヤバいよね~」
「うんうん! 織田くんが運動神経こんなに良かったって知らなかったし!」
「しかも私気付いたんだけど、織田くんってかなり細マッチョだよね?」
「2学期に入ってから明るくて爽やかだし」
「あれ? 織田くんって結構良くない?」
「だよねー」
「ねぇねぇリエナさん。織田くんとは5年前から仲良しなんだよね? 織田くんがどんな人か教えてよ?」
「あ、私も知りたーい!」
「私も私もー!」
「そうですね……勇者様は大変な思いをして悪い王を倒し、私の故郷を滅びの危機から救ってくれたとても強いお方なんです」
「ふんふん。あれだけ運動能力が高いんだもんね。リエナさんの故郷くらい救っちゃうかもだよねー」
「いやいや、今さらっと王を倒したとか言ってるけど、私らと同い年の高校生だよね? それってガチですごくない?」
「だから高校の体育くらい楽勝なのかぁ」
「私、運動苦手だからすごく憧れちゃうかも」
「そんなすごい人なのに、勇者様は偉ぶったところが全然なくて誰に対しても優しいんです」
「たしかに1学期はあんなに凄い男子だなんて素振り、全然見せなかったもんね」
「すっごい物静かだったような」
「よく1学期の間、隠し通せてたよね?」
「能ある鷹は爪を隠すってやつかぁ」
「あ、私は気付いてたよ? オーラを感じてたから」
「「「「嘘つけ!」」」」
「あはは……」
「こら女子! 織田がすごいからって、男子の方ばっかり見てるんじゃない! 今は授業中だ、ちゃんとそっちも試合をしろ! 減点するぞ! あとあまり留学生を困らせるんじゃないぞ!」
「「「「はーい、すみませんでした~!」」」」
リエナに質問タイムをして盛り上がっていた女子たちが、体育の先生に怒られて再び試合を再開する。
そして体育の先生は女子を静かにさせると、休憩がてら審判をしていた俺のところまでやってきた。
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