とある金糸雀の話

士田 蚕

第1話 青空に憧れた金糸雀

 あるお屋敷の4つの鳥籠にそれぞれ青、赤、金、そして色の無い金糸雀が住んでおりました。


 青い金糸雀は言いました。

「この窓から見える空は僕みたいな青色だ。僕はいつかあの空を飛んでみたい。」


 色のない金糸雀は答えました。

「でも、空には僕たちを食べてしまう大きな鳥が沢山いるじゃないか。そんなの危ないよ。」


 それでも青い金糸雀は空への憧れを捨てきれませんでした。


 そんなある日、青い金糸雀は主人が鍵をかけ忘れたのに気づき、みんなに内緒で外に出てみることにしました。

 初めて羽に感じた澄み切った空気、空の深い青、果てしなく続く自由…


 と、その時


 青い金糸雀は鷹にさらわれて深い青の奥へと消えていきました。

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