139 その24 ~遠い地からの侵略 その12~

取り敢えず、避難した海岸の洞窟に一時的な拠点を構築するザック。

他にもっと安全そうな拠点を探すとして、適当に創るのかと思いきや…予想の斜め上過ぎる本格的な拠点を構築し…疲れ切って寝てしまうザックだった…そして「ザックの抱き枕」を自称するシャーリーに依り、(育った柔らかな双丘に顔を埋めて)窒息死寸前になる翌朝だった!

━━━━━━━━━━━━━━━


- 地上班の探索用備品を創造 -


「はぁ~…酷い目に遭った」


「あ~、酷いマスター!」


ザック創造者の意識が戻り、虫の息だった呼吸が正常に戻った後の会話だ。


シャーリー抱き枕レム古護衛者ナル統括体の両名からこってりと説教を喰らったが、余り反省をしているようには見えなかったので再び両名から説教を喰らい中であるw


「…それで、今日の予定は?」


「あ~…空はシャリ妹シスターズたちに頼んでいるからいいとして…」


基本、妖精型の初期シャーリーと同型のシスターズは隠蔽と飛翔速度に特化した身体だ。シャーリーとの暗号型念話に依る通信もあって、遠距離レーダーとしても優秀だ。最初は10体をコピーし、内3体はマウンテリバーに残して来たのだが…現在は通信不能となっていて、健在なのか消滅させられたのかは不明となっている。残念だが恐らくは…ということと思われる。


「やっぱ地上班だよな…フォローするとしたら」


という訳で、新しいゴーレム馬に代わる何かを…


「うん?」


脳裏に何かが浮かんでくる…馬の居ない馬車?…いや、これは…



- とある神域の会話 -


「アムさま?」


「ん、なぁに?」


「いいんですか?…こんなオーバーテクノロジー的な情報を入れちゃって…」


「大丈夫でしょ?…この世界の魔法使いにも錬金術師にも…何だったら賢者にも理解できないわよ」


「いや…まぁ…流石に別の世界からの転生者とか居ないから大丈夫でしょうけど…」


「でしょう?」


「でも…万が一、使徒様の手から離れたら遺物オーパーツ的な扱いになりますよ?」


「ん~…それで勝手に使われるのは面白くないわね…そうだ!」


「…えと、念の為訊きますが…何を思いつきました?」


「んぅ~?…えへへ…悪いことに使ったら天罰でも与えようと思い付いたのぉ~!」


「なっ!…ちょっと止めて下さい!!…忘れたんですか?…ノリで天罰を与えて世界が洪水で水没しかけた2万年前の事件を!!」


「あ、あ~…そんなこともあったかしら?」


「あったかしら?…じゃあないですよ!…それでどれだけ文明が衰退したか忘れたんですかっ!?」


「あああ、ごめんて!ごめんなさい、シャロちゃん!」


「毎度訂正してるのに覚えて下さいよ!…私はシャロちゃんじゃなくて、「イアル=シャ=ホロップ」ですってば!!」


「…省略したらシャロちゃんじゃない?」


「省略しないで下さいよ!…せめて愛称呼びっていってください…」


創造神であり、生活魔法の神…「ドゥグオ=アム=タキゥス」ことアムが従属神である「イアル=シャ=ホロップ」とコントみたいな会話をしているが、その内容は人類にとってはその未来を決定付ける程に危険ではあった…が、その口調はあくまで軽い物ではあったが…


だが知っている者は知っている。その従属神は遥か過去むかしに…外なる宇宙の神々アウターゴッズの一邪神であることを…その遥かな昔に侵略しようとこの世界に入り込んだ時に、アムに捕らえられ…その力の殆どを奪われ、従僕として従えられたのだ(ついでに反逆しないようにその意識も書き換えられていることは、シャロ本神ほんにんも知らない…(苦笑))


「まぁまぁ…じゃあこうしましょう。悪用したらザックくん以外は天罰として軽ぅ~く稲妻が落ちるってことで!」


「あの子は?」


「ザックくんが悪墜ちしたら、この世界が滅ぶからねぇ~…まぁそんなことは無いと思うわよ?…その原因は愚かな人類にあると思うのよね?…だから」


そんな世界は滅べばいいと思うの・・・


声には出さず、アムはそう思ったが、その瞬間…世界は一瞬だが氷点下かと思うような悪寒に背筋が凍る思いに囚われたそうな…神、恐るべし!(ザックと仲間たちは除く)



- 魔導車創造! -


「砂1トンで10台か…まぁコスパはこんなもんかな?」


高性能ゴーレムや高性能装備に比べれば問題は無い…と思い込むことで直視しないように思い込むザック。普通に考えて「コスパが良い」とするなら砂1トンからせめて30台は欲しい所だ。


「まぁ…空気中の魔素から魔力吸収コアとか簡易思考コアを内蔵させたからしゃーないか…」


当然、吸収した魔力は魔力コアに貯蓄させる為、動力源とする為に大型の魔力コアも内蔵させる必要もある。そんな中枢部を護る為に装甲なども強固にする必要はあるし、食糧の輸送を考えて時間遅延型・収容量(大)のアイテムボックスも内蔵させた。外からは荷を輸送させる為の荷台も作り付けたのでその分は素材の減少の助けにはなったが…


※見た目は4人乗りで小さめの荷台が付いたデッキバンと呼ばれる車種に酷似している。違うのは馬車と同じ幌が上にあり、酷い雨でなければ荷を雨から守れる所とか、ゴムタイヤではなく馬車の車輪がついている所と、方向転換する為の車輪が曲がる分だけ外側に張り出していて少しデザイン的にダサい所だろう…尚、素材は土をベースとした強化セラミックとなる。耐熱耐圧耐摩耗性に優れ、ちょっとした魔物が突っ込んで来ても破壊されることはないと思われる…多分?w



「動かし方は理解できた?」


「「「はいっ!!」」」


地上班のゴーレム娘たちは、ナルを経由した念話ネットワークで魔導車の操縦法をインストールしたようだ。基本、この世界には道交法なぞ存在しないので、動かし方のみ理解した訳だが…


「あー…他には人にぶつけない。壊れるかもだから魔物にもぶつけないようにな?」


「「「はいっ!!」」」


いい返事だがいざとなった場合はどうなるのか不明だが…取り敢えず完成した魔導車に実際に乗って貰い、慣熟運転を2日程かけて行った。動かし方を理解していても、実際に動かしてみないとわからないこともあるだろう…ということだ。


そして2日後、実際に動かして貰ってから使い難い部分や改良部分を意見をいって貰い…10台全てに改良措置を施し、魔導車改を配備することとなった。主に改良した部分は…


◎うっかり(崖とか木に)ぶつけて破損→もう少し頑丈にして欲しい!

解決方法→強化セラミックの強度では足りなかったので、疑似ミスリルを練り込んだ強化セラミスリルとして装甲強化した(ほぼ新しく合金を創ったようなもんだけど…)

※フロントガラス部分は通常はそのまま開いたままで、速度を出す時は覗き穴を開けた装甲版で塞ぐ(装甲車式)…左右の窓やスライド式の装甲版を開け閉めし、後方の小窓だけ固定でガラス窓が付いている(外から見ると中の様子が見えないマジックミラー方式)


◎稼働時間が短い→全力で走らせ過ぎ!

解決方法→車輪が空転し過ぎてきちんと地面を噛まず前に進んでないのでグリップ力を上げる為に車輪を改良した

※接地部分のグリップ力を上げて地面を空転し難くした、車輪の回転数を段階的に替えることでグリップ重視の低速→グリップと速度を半々の中速→速度重視の高速…を設けた(ゴムタイヤとギアの概念導入して魔石の内包魔力の効率消費化を図った。車輪は幅を広げてグリップ力向上…見た目には余り変化は無い)→単純に魔力コアの容量を上げてもいいが、それではコスパが悪いし?


◎4人乗り+荷台の容量が少ない!→馬車と同じく6人+荷物を荷馬車1台分くらいは欲しい

解決方法→現在の1辺2人×2+荷台(小容量)から拡大設計をした(仕様は別途)


※新旧魔導車仕様


【旧仕様・魔導車(改も併記)】

---------------

全長:3.5m 全幅:1.5m 全高:2m(幌部分は2.5m) 重量:300kg(改は350kg)

他 :AT(前進のみ。無段変速。停止は加速ペダルから足を離しての自然停止のみ)2馬力相当

   最低速度:5km/h程度~最大速度:40km/h程度

   連続稼働時間は最大速度連続運転で5時間程(改は4時間前後)並足程度なら10時間程度

   ※魔力コア無補給時(空気中魔素吸収機構を使用では動力が過熱で停止しない限り無制限)

積載:水を満載して最大500kgほど(操縦者含めて魔導車がギリギリ動く最大重量)

---------------


【新仕様・魔導車】

---------------

全長:4m 全幅:3m 全高:2m(幌部分は2.5m)

   重量:280kg(セラミックと疑似ミスリルの混合比率を変えた)

他 :AT/MT混合(前進3速(AT/MT)、後進1速(MTのみ))4馬力相当

   停車には自然減速と魔法に依る加重力減速の2方式(後者は緊急時のみ自動で発動)

   最低速度:5km/h程度~最大速度:40km/h程度(ここは変化なし)

   連続稼働時間は最大速度連続運転で7時間程。並足程度なら14時間程度

   ※魔力コア無補給時(空気中魔素吸収機構を使用では動力が過熱で停止しない限り無制限)

積載:見掛け最大4トン(真四角の容器があれば。実際には樽で隙間が空くので4トンいかないか?)

※重力制御して軽減するので車輪が地面にめり込むことはない

---------------


※テストは空気中魔素吸収機構をオフでやって貰いました!(魔力コアの耐久テストも含んだので)



- じゃ、周辺警備と遠方偵察部隊とで使い分けて貰おう… -


「…という訳で、旧型は洞窟の周辺警備用に。足回りは新仕様に合わせて直しておいたから」


「「「はい!!」」」


遠出しないなら十分だろうと、洞窟の周辺の巡回警備用に使い回してもらうことにした。いざって時は捨てて貰っても問題は無いし…(ゴーレム娘たちが走った方が早いんだけどね!)


「で、新型は遠方偵察部隊用に使ってくれ。荷台部分に新機構を加えておいたから…」


秘密機能は遠方偵察部隊ならではの便利機能だ。使い方を書いたメモを車内に置いといたし、何ならナルに聞けば説明して貰えるけど…敢えてボカして驚いて貰おうと思った。…え?ゴーレムが驚くかって?…いいんだよ。情操教育にもいいだろ!(それって情操教育になるんか?)


※情操教育とは相手を思いやる気持ちや命の大切さ、知的好奇心などを自ら育むことを目的とした教育です…だそうだ(知的好奇心を刺激する…というのは認めるけど…どうなんだろう?(謎))


━━━━━━━━━━━━━━━

仕様説明だけで半分占めている気がする…


備考:設定厨の面目躍如?w(をひ)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る