60 その17 ~ドライールドに往こう その2~
ドライールド領について、扱いをあれこれ相談していたけど…結局使者さんが斬り捨てられて、命からがら逃げ戻って来てミランダ婦人とサンフィールド領主がキレました…
結論として…サンフィールド領自体は「専守防衛」とし、ザックくんが鉄砲玉として単身(じゃないけど。数名の従者ゴーレムを引き連れて行くのでw)ドライールド領に赴き、何とかして来いと…
ザック 「えぇ~っ!?…何とかって策無しですかぁっ!?」
シャーリー「マスター、どんまい!」
レム 「大丈夫、マスターは体に代えてもお護りします!」
※ほぼ鉄砲玉となったザックに明日は来るのかっ!?(来なかったらお話しが終わるので(以下略))
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- 取り敢えず精鋭護衛ゴーレム創造 -
(まさか策無しで行けとかいわれるとは思わなかった…)
そして策無しのまま敵地にのこのこと出掛けて行く訳にもいかず…ザックは考えられるだけの準備をすることにする。
(まずは…回復アイテム系統はっと…)
ストレージの保有個数を確認。小さい傷や中程度の怪我に使用する
(でも…致命傷を受けないとも限らないしな…。
ストレージの中でスケドを創造する。本来ならば慎重に手作業で編む作業が必須なのだが…ストレージ内部でなら全く触れずに創ることができる…。実はスケドは素手で触れてしまうと作業の進行度に依っては中途半端に発動してしまって効果無しのまま霧散するという…。そらそうだろう…本人は致死の攻撃を受けてないのだから効果が発動する筈も無い。
(うーん…とりま3つ追加しとくか)
普段装備してるのが1つ。予備が1つしかない為、3つ追加しておく。いや、そんな命を狙われてるのか?と聞かれると…ま、まぁ、転ばぬ先の杖っていうし?
(完成っと…)
取り敢えず錬金魔方陣の完成品置き場枠からショートカット使用枠へ移動しておく。装備してるスケドも直接装備してる訳じゃなくて、ショートカット使用枠に置いてある。こうしておけば装備してるのと同じ扱いになるので死にそうになったら発動消費するし、裸に剥かれてもあのスケドを身に着けてるとはバレないのだっ!…(力一杯説明する意味は…無い!w)
(後は…)
レムは最初期に創造した従者ゴーレムで強力無比な防御力があるが基本おっとりとしていて攻撃があっても主に防護に特化した個体だ。シャーリーは偵察・索敵に向いているし単体での突撃もできるがそれだけだ。
(
別に野球の話しではなく、走るのが得意なら主人たる己の危機に駆け付けるのが早ければ早い程危険から遠ざけて貰えるし遠距離特化の敵が居た場合、足が速ければ即座に攻撃が可能だ。防御力が高ければ継戦能力も高くなるし、攻撃力が高ければそれだけ敵戦力を削ぐ時間も短くて済むと…
(武装は…薄くて軽く、耐久防御双方高い
※見た目は旧式のスナイパーライフルで照準器がアイアンサイトと呼ばれる物のみが装着されている。
※3種類の攻撃手段は更に以下のように細かく選択可能
◎貫通(通常射撃・射程距離は5~300m)属性:雷
※5m以内でも当たらない訳ではないがエネルギー値不足で対象を吹っ飛ばして終わりとなる
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◎爆裂(射程距離は100m。推奨距離は10m以上)属性:火・雷
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◎範囲爆撃(射程距離は30~300m。推奨距離は50m~200m(選択範囲に依る))属性・炎
※選択範囲「大」でうっかり至近距離で命中しても不発(吹っ飛ばし)で終わるが注意すること
・小~大
(武装はこんなもんでいっか。後は…ゴーレム本体だな)
思い浮かべるのはこれまでと違い…シャーリーより早く疾走し、レムより頑強で…何より誰よりも力強い、でも横に居て安心感のある存在。そして
(後で近接武器も用意しないとな…盾にもなるような大剣がいいかな?)
ふと、身の丈の数倍に匹敵する小さい娘…なんてギャップを感じる姿を想像したが、頭を振って追い出す。今回はストレージ内部での錬金魔方陣を用いて設計図を構築しているのだ。余計な考えごとをすると影響が…あるかも知れない。
(設計図完成っと…次は素材の創造をっと…)
今回は出力アップとそれに伴うボディの耐久力アップがメインだ。俊敏さや速力はシャーリーを参考に。防御力はレムを参考に。頭脳関係はナルを参考にした。総合すると…人類を超越してしまうが…まぁ僕が手綱を締めていれば大丈夫だろう…多分、きっと…不安(ちょっ!)
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(…物質変換)
素材の用意完了。
(錬金魔方陣の用意…)
設計図・素材・コアの配置完了。
(錬金開始…)
設計図の定着完了…設計図に応じた素材の最適配置完了…思考コア・記憶コア・魔力コアの最適位置検証…配置完了。
最新鋭ゴーレムが徐々に創り上がっていく。まずはボディが…内部機構も同時に創り上げられていく…空いている部分に各種コアが収まって行き、定着する。全体に魔力が注がれ、機能開始される。記憶コアには各種先達のゴーレムたちのデータがインストールされ、思考コアにもそのボディと目標に沿った最適な思考パターンが取捨選択され、不具合が生じないように最適なモノが仕込まれる。
〈魔力残量が3%を下回りました。至急補充を!〉
突然、そんな警告が表示され…ザックは慌てて
(えぇ~?…先日補充したばっかなんだけど…何故?)
気になり、ストレージのステータス(魔力残量)を見ながら充填していたのだが…
(マジか…)
念の為、もう1つの
(まさか、8000ちょいもあった魔力の殆どを使っても足りないとか…どんだけ馬鹿喰いの個体なんだ…?)
大雑把にいえば…ストレージの内包魔力全部を必要としていた。実に、4ザック…いや、ザック4人分は魔力を必要としていたのだ(ザック「4ザックってなんだ!」)
・
・
「はぁ…ちょっと強力過ぎるのを創った気がする…」
創造タイムが終了し、無事に最強の護衛ゴーレムが誕生した。だが、まだ取り出してその姿を見てないのでどんなゴーレムなのかは不明だ。ストレージでは文字でその存在があるとわかるが、ビジュアルでは見えないのが不便だ(一般的なアイテムなら
「ふむ…名前を最初から付けておくか…呼び出すにしても名前が無いと…な」
そういうと、隣でピクリとレムとシャーリーが動く。後付けでの命名なので先付けされたことにより、何か不満が出たのだろうか?(ちなみにシャーリーは50cmの抱き枕大になっているが、体を縮小させる魔導具を装備して普段は元の大きさの妖精サイズに戻っており、レムの頭の上で寝そべっている)
「ん~…何がいいかな?」
考えるが何も思いつかない!…と唸っていると、レムがシュタ!…と挙手して「あの!」と呼び掛ける。
「ん?…どした?」
「えと…私たちが考えてもいいですか?」
シャーリーを見ると、うんうんと頷いている。
「どして?」
びくん!…と動きが止まるレム。シャーリーが
「いやだって…あたしたちの妹になるんでしょ?」
「あ、いや…性別は不明なんだよな…何故か」
ゴーレムなのだから元々性別は存在しない。見た目が女性寄りか男性寄りかの違いがあるくらいだ。
「あ、そ…妹か弟かわかんないならどっち付かずの名前でいーんじゃない?」
「まぁ…そうだな。名付け親…いや、名付け姉になりたいと?」
レムに視線を戻して訊くと、
「え…と…」
頭の上からシャーリーが
「ま、そんな感じ?…勿論、マスターはマスターなんだから、気にしない気にしない!!」
とのたまっていた。まぁいいか…と、ザックが名付けの優先権をレムとシャーリーに譲る。そして!…凡そ20~30分程のあーだこーだと名前の候補が出ては却下され、出してはスルーされて喧々諤々…いや違うか?…ま、最終的に3つに絞られたようだ。
「第1候補!」
「ユダ」
「却下!」
「何でぇ~!?」
「何か後で裏切られそうな悪寒が…」
「ぶぅ~…」
「第2候補!」
「コユキ」
「…保留で」
「何故?」
「妹前提の名前やんけ!」
「うっ…バレたか…」
「はい次」
「第3候補!」
「ユグドラシル…愛称はユグちゃん!!」
「その心は?」
「え…そう返して来たか…」
「えと…「みんなを護り通す強さと暖かさ」をイメージしてみたの?」
「何故疑問形?」
「いや、まぁ…アハハ」
取り敢えず、最後に持って来たユグドラシル、愛称ユグちゃんを仮採用した。コユキは…保留したけどまたネームドゴーレムを創る時にでも採用することにしよう(氷結系魔法を扱う個体とか?)
「じゃ…呼び出すぞ?」
「呼び出す?」
「取り出すじゃなくて?」
「あぁ…さっき、名前を命名した途端にな…ゴーレムじゃなくて「複合属性大精霊」にクラスチェンジしたんだわ…解せぬ」
名前がユグドラシル…所謂「大地樹属性系統」なのに、武装の関係で「炎雷属性系統」の複合属性大精霊となっていた。つまり、現在はストレージの錬金魔方陣の完成品格納枠に収まっているが、精霊界と現世とを行き来できる存在になった訳だ…
(相反する属性でどんなのが出てくるか…)
不安でしょうがないが、ザックは唱える…精霊召喚の句を!(自然と脳裏に浮かんだ句をそのまま詠唱)
「我求む…炎雷属性大精霊を此処に…その名は「ユグドラシル」!!」
しーん…
「あ…れ?」
「来ませんね?」
「召喚失敗?」
キャハハハハ…とシャーリーが笑い転げ、レムが心配そうにこちらを見ている。
「っかしーな?」
脳裏に浮かんだ精霊召喚の句と今唱えた句を思い出しながら比べるが…間違った所は…残念ながら無かった。
〈…せよ〉
はい?
〈…名前を替えよ〉
名前?…そういえば愛称として「ユグちゃん」と設定していたな…あくまで愛称であって正式な名前ではないのだが…
「はぁ…しょうがない。もっかい行くぞ?」
「「あ、はい…」」
笑い転げていたシャーリーがこちらの雰囲気を察して静かになる。レムは最初から静かだったがw
「我求む…炎雷属性大精霊を此処に…その名は「ユグちゃん」!!」
しーん…
先程より、より静かに…心なしか空気まで冷えたような気がする。
「マスター?」
「愛称で呼べる訳ないじゃ…「黙れ?」…ひっ!?」
ぼんやりとザックたちの目前に赤っぽい炎のような霧が現れ、やがてバチバチと放電現象を伴ったはっきりとした炎が見え始め…そして赤から橙色に変化してあっという間に人の形を象り…全てのエフェクトが消え去ると、そこには小さな…身長が凡そ1.4mの女の子が現れる!(ザックは1.6m程)
「おんな…のこ?」
しかも妹然とした身長だ。思い切り大型武器を振り回す可愛い女の子…といった妄想が現実と化してしまい、ザックは膝を地面に付きそうになるが…
「兄さま危ない!!」
と、走り寄って抱きかかえられてしまう…
「え?あ…ありがと」
と、礼をいうと、ひょいっと立たされて
「いえ、礼をいわれる程では…」
と、顔を赤められてそっぽを向かれるのだった…
「ゆ…ユグちゃん…可愛いぃ~!!」
と、レムが駆け寄るが…
「ダメ姉、邪魔!」
と、そのタックル…もとい、レムの抱き着き攻撃を弾く体幹もしっかりした最新鋭護衛ゴーレム「ユグちゃん」だった…!
「うわぁ…ブラコン妹ゴーレム…強い!」
何いってんだ、命名したのはおめーらだろが…と、ザックは細目で2人を見るのだった…(苦笑)
━━━━━━━━━━━━━━━
まさかのブラコン妹ゴーレム爆誕!…しかも歴代ゴーレム最強とくればもう!
ちなみに薄い青の銀髪ツインテールですが瞳は青くなく緋色です(扱う属性色が反映されてる模様。目→炎、髪→雷)肌色は薄い肌色でレムやシャーリーの肌色に比べて貴族っぽいかもw
備考:報酬は出世払いに…(サンフィールドが安定した収益を出すようになったら、といわれた模様)
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